7年経てDeNAが日本一に王手 DH生かし切る選手層積み上げ
◇◯DeNA7―0ソフトバンク●(31日・みずほペイペイドーム) 中国にこんな言葉がある。年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず。2017年日本シリーズで敗れたソフトバンクと再び相対したDeNAが、年月を経るとともに成長した姿で王手をかけた。当時との最大の違いは何か。それは指名打者(DH)制のメリットを生かせていることだ。その象徴が三回の先取点である。 【写真】日本シリーズ第5戦 ソフトバンクーDeNA 1死一塁からフォードが右前打し、一、二塁に。2死後に筒香嘉智が詰まりながらも、先制の中前適時打を放った。「つないで作ってくれたチャンスでランナーを還すことができうれしいです」と笑顔を見せた。 7年前、DeNAでDHを務めたのは決して強打者とは言えない選手や、経験不足の若手ばかり。選手層の薄さが露呈。結果、相手本拠地の福岡では3戦全敗だった。 だが、今は打線が分厚い。主砲のオースティンがけがのため、指名打者に入っているが、代わりに最近代打で好調だったフォードが一塁手で起用され、結果を出した。同様に代打起用が多い筒香が左翼で先発出場したのも同様の論理だろう。球団OBでもある靍岡賢二郎オフェンスチーフコーチは「7年前とは変わった。今はうれしい悩みです」と振り返る。 強打者が多ければ、主導権を握る確率が高まり、マークも分散するのが道理だ。四回の牧秀悟の今シリーズ第1号となる3ランもその一つの表れだ。牧も「ほっとしているというか、こういう形で貢献できて良かった」と喜んだ。 ただ、今シリーズはこれまで、互いに自軍の本拠地で全敗という「内弁慶」とは全く逆の状態で進行している。不慣れなDHに適応するセ代表と、慣れ親しんだDHを生かしきれないパ代表。矛盾を抱えた両者の戦いは、DeNAファンで青く染まるであろう横浜スタジアムで決着する。【岸本悠】