いざ当事者になるとパニックになる人だらけ! クルマの「よくあるトラブル」3つと覚えておくべき対処法
トラブル時の対処法をマスターしておこう
JAFに寄せられる救援要請でもっとも多いのは、1位がバッテリー上がり、2位がタイヤのパンク、3位が落輪・落込で、この3つだけでじつに6割以上を占めているといいます。日頃のメンテナンス不足や、ドライバーのうっかりミスなど人的要因が多い傾向にあり、「日本車だから壊れないだろう」「ちょっとくらい大丈夫だろう」といった過信がトラブルを引き起こしている可能性もあります。 【写真】今ではあまり見なくなった!? なるべく積んでおきたいテンパータイヤとは 今回は、もしそんなトラブルが起こってしまったときに、どう対処すればいいのか。二次被害を防ぎ、安全に落ち着いてすべき行動をご紹介します。 まずは、バッテリーが上がってしまったら。原因にはバッテリーの寿命や長期放置、ライトの消し忘れや電装品の過剰使用、発電機のトラブルといったさまざまなものがありますが、理由がわからない場合はすみやかにJAFなどの救援を要請し、整備工場で点検を受けましょう。長期放置や過剰使用によるバッテリー上がりの場合は、正常な状態の他車にブースターケーブルをつないでもらう方法があります。 安全な場所でフロントを向かい合わせにして停車し、ボンネットを上げます。初めにバッテリー上がりのクルマのバッテリーからブースターケーブルを接続しますが、順番と+・ー端子を間違えないように要注意。順番は、まず+端子から。2番目が救援車の+端子。3番目が救援車のー端子。最後に、バッテリー上がりのクルマにー端子を接続します。 ブースターケーブルがファンベルト等に巻き込まれないことを確認したら、救援車のエンジンをかけ、可能ならアクセルを踏み込んで回転数を少し上げます。次にバッテリー上がりのクルマのエンジンをかけ、かかれば成功。ブースターケーブルを、接続したときと逆の順番で取り外します。
乗車前の各種チェックを習慣にしておこう
続いて、パンクをしたときの対処法です。最近はスペアタイヤではなく、パンク修理キットを積んでいる車両がほとんどとなっています。使い方はその修理キットにより異なりますので、よく説明書を読んでから使用しましょう。作業をする際の注意事項としては、まず作業のために停車する場所として、ほかの交通がなく平らな場所を探します。砂利道や、草が多く生えているような場所は避けましょう。 また、クギやネジが刺さってしまったことによるパンクの場合は、慌てて抜かないでそのまま修理キットを使用します。あくまで応急処置なので、整備工場まで自力で走っていくためのものと心得ましょう。修理キットには、処置後に走れる距離、速度、時間などが書かれているので、それを守って走行してください。 もし、タイヤのゴムが裂けてしまうようなバースト状態になったら、修理キットでは対処しきれませんので、救援を要請しましょう。スペアタイヤを積んでいる場合には、ジャッキ、ホイールナットレンチ、ジャッキハンドル、輪止めが揃っているかを確認。 平らな場所で、パンクしたタイヤの対角線上にあるタイヤを輪止めで固定し、パンクしたタイヤのナットを少し緩めた状態でジャッキアップします。この際、ジャッキアップポイントをしっかり確認し、パンクしたタイヤが少し地面から浮くまでの高さにします。ナットをすべて外し、パンクしたタイヤを取り外してスペアタイヤに交換。 ナットを仮締めする順番は、最初に時計の1時の位置、2番目が8時の位置、3番目が3時の位置、4番目が10時の位置、最後に5時の位置(5穴の場合)。2~3回にわけてまわし、タイヤがガタつかないくらいになったら、ジャッキで車体を下げてジャッキを外します。仮締めのときと同じ順番で本締めをし、輪止めを外して完了です。 これで再び走り出すことができますが、応急用のスペアタイヤの場合は、なるべく早く本来のタイヤに交換しましょう。 続いて、落輪・落込の対処法です。脱輪ともいいますが、タイヤが車道を踏み外して動けなくなった状態のことをいいます。側溝や畑、川といったところに落ちたり、縁石に乗り上げたり、雪や砂・泥などでスタックした状態も落輪と呼ばれることがあります。 自力で脱出できるかどうかを試す場合は、左右にハンドルをいっぱいに切って、落輪したタイヤが動くかどうかトライしてみます。側溝などの縁にタイヤが引っ掛かり、脱出したい方向に向いていれば、アクセルを力一杯踏んで復帰できる可能性があります。ジャッキがあれば、車体を持ち上げてから落輪したタイヤの下に鉄板などをかませて、脱出する方法もあります。 とくに雪や砂などでスタックした場合は、空転するタイヤの下にフロアマットや古毛布、板などの滑りにくいものを敷き、脱出する方法があります。アクセルを踏むと同時に、周囲に協力者がいる場合には後ろから車体を押してもらうと、より成功する確率が高くなりますが、タイヤの下に敷いたものが勢いで跳ね飛ばされてしまうこともあるため、安全確認を怠らないようにしましょう。 自力で脱出できない場合は、牽引ロープを持った救援車に引っ張り上げてもらうか、JAFなどのロードサービスに救援を要請しましょう。 このように、トラブル対処法が頭に入っていれば、万が一の際にもパニックにならずに済むと思いますが、いずれも時間や労力がかかり、とても大変です。何も起こらないのがいちばんなのは変わりませんので、日頃からのメンテナンスと乗車前のタイヤチェック、オイルチェック、バッテリーチェックをぜひ習慣にしてほしいと思います。
まるも亜希子