「日差しがないと楽」 高校体育祭、増える屋内開催 暑さ対策、生徒や保護者から好評
暑さ対策のため体育祭を学外の屋内スポーツ施設で開く高校が広島県内で増えている。クーラーが効き、雨天延期もない。生徒、保護者、教員のいずれからも好評で「屋外開催には、もう戻れない」という声も。体育祭の風景は変わりつつある。 【写真】屋内での体育祭の様子 「2階の観客席から見やすい」と保護者も好意的 「行けー!」。20日、広島市西区の広島サンプラザホールに観音高(同区)の生徒の声援が響いた。今年初めて会場を学校のグラウンドから移した。この日の広島市中区の最高気温は33・9度だが、ホールの中はひんやり。3年の内田咲良さん(18)は「思い切って動ける」と喜ぶ。保護者も「日差しがないと楽。2階の観客席からも見やすい」と好意的だ。
■開催時期集中し利用枠は争奪戦に
体育祭は午後2時過ぎまで続いたが、昨年は違った。午後の暑さを避けるため午前で終了。他にも水分補給する「クーリングタイム」を設け、手を冷やす氷水を用意していた。日陰を増やすためテントを他校からも借りた。それでも熱中症の心配は尽きなかった。 屋内開催に伴うホールと備品の使用料や冷房代などで25万円ほどかかる。しかし久保薫校長は「生徒の健康を考え、判断した」と説明。昨年は開催予定日の朝が雨で翌日に仕切り直したが、そうした恐れもない。 体育祭を同ホールで開く高校は2019年度は1校だったが、24年度は4校に。県立総合体育館(中区)も4校から11校に増えた。熱中症対策で初めて5月に同体育館で開いた市立広島工業高(南区)では、後日のアンケートで教員の95%が屋内開催を評価。担当の山田貴子教諭は「日差しと砂ぼこりがないと疲れが全然違う」と話す。同体育館は学校向けの安い料金区分があり、経費は約6万円だったという。 市内の高校で最初に屋内で開いたのは、14年に切り替えた沼田高(安佐南区)とされる。三浦秀行校長は「体育祭には毎年、他校の視察が来る。暑さに頭を悩ませているのだろう」と推し量る。 福山市内でも、高校3校がエフピコアリーナふくやまを体育祭会場にしており、うち1校は今年から使い始めたという。 課題もある。一つは経費。もう一つは会場を押さえられるかという問題だ。大きな施設が限られている上、開催時期が集中して利用枠は争奪戦となりつつある。市立広島工業高も第1希望日が取れず、空いていた5月に開いた。
中国新聞社