「妊娠糖尿病」が妊婦検診で見落とされる危険性?多くの分娩施設採用の「随時血糖値測定法」のみでは見逃されたケースも 神戸大研究チーム発表「50g糖負荷試験の検査普及の必要性」指摘
妊娠中に発覚する「妊娠糖尿病」について、現在、多く利用されている検査方法では、見落としの危険性が高いことを神戸大学の研究チームが明らかにしました。
神戸大学によりますと、「妊娠糖尿病」は妊娠中に発見され、妊娠が終わると治る糖尿病で、母親や赤ちゃんに様々な悪影響を与えることがわかっています。 現在、日本では分娩を取り扱う多くの施設で、「妊娠糖尿病」の検査が行われていますが、食後どれだけ時間が経過したかを考慮せずに血糖値を測定する「随時血糖値測定法」もしくは、50gの糖が含まれる検査用の炭酸飲料を飲み、1時間後に血糖値を測定する「50g糖負荷試験」を妊娠24~28週間の時期に実施することが推奨されています。
神戸大学の研究チームは、2019年2月~2022年1月の3年間に、医学部附属病院の産科婦人科にかかり、妊娠24週~28週に50g糖負荷試験を受けた763人のカルテ調査を行いました。 その結果、最終的に99人が妊娠糖尿病と診断され、この99人の随時血糖値を確認したところ、およそ7割にあたる71人は随時血糖値に異常がなかったということです。 つまり、随時血糖測定法だけで妊娠糖尿病を見つけ出そうとすると、「50g糖負荷試験」を行っていた場合に診断できていたはずの妊娠糖尿病妊婦のおよそ7割で病気が見逃される危険性あることがわかったのです。 50g血糖負荷試験は検査が複雑で時間がかかることから、兵庫県内の分娩取り扱い施設では、随時血糖値測定法を使用している施設が多い状況です。 神戸大学の研究チームは、「見落としの少ない50g糖負荷試験による検査を普及させる必要がある」としています。