「社長、いつ引退するか決めていますか?」――後継者不在でも〈会社を次世代に残す〉ために、経営者がまずやるべきこと【コンサルタントが助言】
存続か、廃業か、売却か、倒産か。経営の未来を考えたとき、どの企業も選択肢はこの4つしかありません。多くの経営者が選ぶのは「存続コース」ですが、現実には高いハードルが存在しています。実現させるにはどんな準備が必要なのでしょうか? 幅広い業界でコンサルティングを実施する大西靖彦氏(株式会社タナベコンサルティング)が、経営の承継を成功に導くポイントを解説します。
企業の半数以上が「後継者不在」…その背景とは?
昨今、企業において後継者不在の問題が顕在化しており、2023年の調査では53.9%が「後継者不在」と回答している(出所:帝国データバンク『全国「後継者不在率」動向調査(2023年)』)。企業の半数以上で後継者が不在ということである。この背景はさまざま考えられるが、大きく3つ挙げられる。 まずは「少子高齢化」である。かつての日本企業では親から子への親族内承継が大半を占めていたが、現在は承継する親族がいないという企業が多くなっている。 次に、「親族内承継が一般的でなくなった」ことが挙げられる。前述のとおり、日本企業では親族内承継が大半を占めていたが、その親族内承継自体が一般的ではなくなってきている。大学進学が一般化して職業選択の機会が広がったことから、経営者の子供は親の会社を継ぐのではなく、自身のしたい職業を選ぶケースが増加している。経営者自身が無理に子供を後継者に指名しないことも少なくはない。そのため、経営者に子供がいたとしても、後継者不在となっている企業も多い。 最後は「準備不足・準備の遅れ」である。経営者や経営陣が企業を次世代に承継する準備をしてこなかったことで、承継すべきタイミングが来た際に、経営を任せられる人材がいないという状況に陥っていたり、解決に時間を要する資本の問題を抱えていたりする。 後継者が不在だと、その企業は将来どのようになるのだろうか。 前回記事 で述べたように、すべての企業において選択できる道は、「存続コース」「廃業コース」「売却コース」「倒産コース」の4つしかない(⇒関連記事: 『「会社はつぶれるようにできている」…それでも生き残る企業、そのまま終わる企業の“分岐点”【経営コンサルが解説】』 )。 当然、経営者が選択する道は「存続コース」である。本記事では、「存続コース」を実現し、未来に経営をつなぐための「経営の承継を成功に導くポイント」を解説していく。