3月マイナス金利解除の公算、秋までに再利上げも-MUFG常務
(ブルームバーグ): 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)で市場事業本部長を務める関浩之執行役常務は、日本銀行が3月18-19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する可能性が高いとみている。
関常務は2月28日のブルームバーグとのインタビューで、消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年比2%を超えて推移しているほか、今年の春闘では昨年を上回る賃上げが期待されると指摘。「日銀は賃金の上昇を伴った2%の物価安定目標が実現できる確度がさらに高まってきている手ごたえを感じるものと思われる」と述べ、3月解除の可能性を予想した。
日銀会合は4月にも開かれるが、足元の円安進行で今後は個人消費への悪影響が懸念される上、4月28日には衆議院補欠選挙もあり、勝敗次第で政権運営が不安定化するリスクを踏まえると、それに近いタイミングでの政策変更は極力回避した方が望ましいと関常務は言う。
また、2024年年央にも米国や欧州の中央銀行が利下げに踏み切る可能性が高く、9月には国内で自民党総裁選、米国では11月に大統領選と重要な政治日程もあるため、「マイナス金利解除から次の利上げを見極めるために相応のリードタイムが必要」との認識を示した。
ブルームバーグの報道を受けて、6日の債券相場は下落(金利は上昇)した。日銀の早期政策修正観測が相場の重しとなった。株式市場ではりそなホールディングスの株価が一時前日比4%超上昇するなど銀行株が堅調。
金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)では、市場が織り込む3月解除の確率は5日時点で53%程度。日銀の植田和男総裁は経済・物価情勢の展望(展望リポート)の公表がない会合でも「政策変更はあり得る」と話している。マイナス金利が解除されれば8年ぶりで、超低金利で長年海外に向かっていた国内機関投資家の資金が日本国債に回帰する可能性がある。