Bloomberg

（ブルームバーグ）： 半導体の受託生産大手、台湾積体電路製造（ＴＳＭＣ）は17日、2024年の売上高伸び率見通しを引き上げた。７－９月（第３四半期）の純利益は、アナリスト予想を上回った。世界的な半導体需要や人工知能（ＡＩ）ハードウエアブームの持続力を巡る懸念を和らげた。

黄仁昭最高財務責任者（ＣＦＯ）は会見で、25年の設備投資が今年を上回る公算が非常に大きいと説明。ＴＳＭＣは24年の設備投資が300億米ドル（約４兆4900億円）をやや上回ると見込んでいる。今年の売上高については米ドルベースで約30％増と予想。従来見通しは20％台半ば程度の伸びだった。

ＴＳＭＣの新たな見通しで、投資家がＡＩや半導体需要を見誤っているとの懸念は和らぐと考えられる。オランダの半導体製造装置メーカー、ＡＳＭＬホールディングが先に発表した７－９月の受注額はアナリスト予想の半分程度にとどまり、市場を驚かせていた。

ＴＳＭＣの魏哲家最高経営責任者（ＣＥＯ）は「需要は本物で、まだ始まったばかりだと信じている」と発言。全般的な半導体需要については、「全てが安定化し、改善し始めている」と述べた。

アップルやエヌビディアを主要顧客に持つＴＳＭＣの株価は年初来で70％余り上昇。アジアの大手テクノロジー銘柄の中でも値上がりが目立っている。

キルター・チェビオットのテクノロジーアナリスト、ベン・バリンジャー氏は「ＴＳＭＣは単なるＡＩマシンではない」と指摘。「よく知られた独自の問題を抱えているインテルやサムスン電子よりもＴＳＭＣははるかに有利な立場にある。ＴＳＭＣは自社をうまく位置づけており、このセクターに本格的な下降局面が訪れたとしても、それを乗り切って良好な立場で浮上することができるはずだ」とコメントした。

ＴＳＭＣが同日発表した７－９月の純利益は前年同期比54％増の3253億台湾ドル（約１兆5100億円）。アナリスト予想平均は2993億台湾ドルだった。