<大阪北部地震から1年>被害甚大だった大阪モノレール技術者「地域のことも考えながら施設をしっかり守る」
最大震度6弱を観測した大阪北部地震から18日で1年を迎えた。この地震で甚大な被害を受け、運休や減便が計12日間にも及んだのが大阪モノレールだった。この地震による被害をどう乗り越えたのか。そして、今後の安全にどう生かしていくのか。運営会社の大阪高速鉄道(吹田市)の関係者に話を聞いた。 【画像】大阪地震・駅ビルで天井や壁が崩落「阪急南茨木駅」
地震はまさに「通勤時間帯」だった
2018年6月18日7時58分頃、地震はまさに通勤時間帯だった。「私は通勤途上で、阪急千里線に乗っていました。関大前の駅に着いた時くらいに、ぐらぐらっと凄く揺れて、電車が動きませんという話になったんです。待っていても動かないので、降りて歩き出しました。運よくタクシーが通ったので、タクシーで出勤しましたが、1時間くらいはかかりましたね」と話すのは、大阪高速鉄道の統括審議役(危機管理担当)兼技術部審議役、安渡優さんだ。 「すでに会社に到着していた者もいましたし、私のように通勤途上の者もいました。技術部はすぐに点検に向かいましたが、お客様を安全に避難させることが最優先でした」
復旧に日数を要したモノレールの特性とは
今年3月、同社は専門家による被災検証委員会(委員長=清野純史・京都大大学院教授)の最終報告書をまとめた。 それによると、大阪モノレールは即時に運行中の全18列車を緊急停止し、運転指令において通電・通信状況や各列車の被災状況等の確認。その結果、各列車とも走行が可能で、駅間に停止している10列車を最徐行で最寄り駅まで移動させ、午前8時50分には乗車していたすべての利用客を避難させたとしている。 しかし、モノレールの特性で復旧には随分と日数を要した。地震の発生で緊急停車した車両は18台。乗客を避難させ安全確認を始めたが、レールの点検に使う工作車(作業車)も同じレールを走るため、停車中の車両が障害となり、作業に時間がかかった。
「モノレールは高架なので徒歩で点検ができない」
軌道桁、支柱等の土木建造物はこれまでの耐震対策の効果もあり、大きな被害は確認されなかったが、車両や電気・機械設備には、営業運行を再開するには多くの損傷が発生していた。さらに朝のラッシュ時に重なっていたため、運行中の車両が多く、駅での停車車両が障害にもなっていた。 「点検には万博車両基地にある工作車を使います。他の鉄道さんは歩いて点検ができますけど、モノレールは高架なので徒歩で点検ができないためです。工作車での点検を18回繰り返し、それで点検完了まで時間がかかりました」 特に地震直後から1週間ほどは多忙を極めた。「お客様の対応がいちばんですし、振り替え輸送、代替え輸送、臨時バスを出したり、路線バスへの誘導など、それが大変でしたね。僕ら技術部は点検や修理の作業に追われました。みんな2~3日泊まり込みで、仮眠はするけど、交代で夜通し作業をしてました」(安渡さん)