<大阪北部地震から1年>被害甚大だった大阪モノレール技術者「地域のことも考えながら施設をしっかり守る」
「地震被災度推定システム」の構築を急ぐ
こうした経験が反省材料にもなり、各施設の耐震性を高めるだけでなく「地震被災度推定システム」(仮称)の構築を急ぐ。これは地震が起きた時、地震の規模や特性に応じて、駅間ごとに軌道桁や支柱、車両の損傷程度を速やかに予測するシステムだ。このシステムを使えば、発災直後に車両移動の判断を行い、点検箇所を重点化して点検時間の短縮を図れるという。 今後も様々な対策が必要となっており、対策方法が確定したものは2019年度から順次対策を実施。詳細な検討が必要なものは調査設計業務等を実施、2020年度から対策を実施する。 駅舎のホームからの転落防止対策(可動式ホーム柵の設置)や地震被災度推定システム構築など、2023年までの5年間を目途に完了させる計画だ。
より安全性を向上させるため可動式ホーム柵の設置に着手
大阪モノレールは現在ホームに固定柵はあるが、より安全性を向上させるため、今年度から可動式ホーム柵の設置に着手し、全18駅に設置するとしている。千里中央駅は今年3月にすでに完成済みだ。 また、大阪空港から門真市までの21.2キロと万博記念公園から彩都西までの6.8キロの計28キロを営業区間としているが、2029年の開業を目標に、門真市から大阪東部の瓜生堂までの8.9キロを延伸する計画だ。これにより新たに4路線の鉄道と連結することになる。 「地震はいつ来るかわからない。緊急時の訓練もやっていますが、僕ら技術部は地域のことも考えながら、施設をしっかり守ることです」と安渡さんは力強く話していた。 (文責/フリーライター・北代靖典)