ロールス・ロイス、次世代ターボプロップ「改良余地あるが市場次第」
英ロールス・ロイスのリサーチ&テクノロジー部門ディレクター、アラン・ニュービー氏は10月15日、プロペラ機向けのターボプロップ・エンジンについて、技術的に改良の余地はあるものの、新エンジンが開発されるかはマーケットの動向次第との見方を示した。 【画像】エンブラエルが検討しているリアエンジンのプロペラ機 50-70席クラスの民間機市場で、ターボプロップの新造機を製造するメーカーは仏エアバスと伊アレニア・アエルマッキの合弁会社ATRに限られる。メーカー標準座席数が1クラス48席のATR42-600と同72席のATR72-600は、プラット・アンド・ホイットニー・カナダ製エンジンPW127シリーズを採用している。 都内で取材に応じたニュービー氏は、ターボプロップ・エンジンの市場について「いま飛んでいるエンジンは古いものばかりなので、圧縮比やタービン温度などに(技術的な)伸びしろはあると思うが、マーケット性のほうが足かせになっていると思う」と語った。 リージョナルジェット機の最大手で、世界3位の機体メーカーであるブラジルのエンブラエルは、ターボプロップ機市場への参入を検討しているものの、事業化には至っていない。エンブラエルのフランシスコ・ゴメス・ネトCEO(最高経営責任者)は、Aviation Wireの取材に対し、「エンジンの良い解決策が見つかっていない」と応じ、省燃費や低騒音、運航コスト削減を主なテーマに機体を新規開発するには、新たなエンジンが不可欠との認識を示している。 コロナにより、航空会社の路線や機材の計画が見直される中、ターボプロップ機に対して航空会社がさらなる低燃費を求めるかや新型機の市場規模などで、新エンジンが開発されるか否かが決まると言える。 一方、民間機向けジェットエンジンは、現在のTrent(トレント)シリーズの原型となったRB211以来の新設計となる次世代の低燃費・低騒音エンジン「UltraFan」を開発中。ワイドボディー(広胴・双通路)機向けから開発しており、2035年ごろには市場投入される見通し。ナローボディー(狭胴・単通路)機向けも「今後3年から5年くらいの間には試験を始めたい」(ニュービー氏)と、次世代エンジンの準備が進んでいる。
Tadayuki YOSHIKAWA