沈んだ気持ちと心に栄養を。喪失感ある心に沁みる名曲5選
大切な人を失った時の喪失感は何度経験しても慣れません。身近な家族や友人、知り合いから、手の届かない憧れの存在であるアーティストまで、関係性はそれぞれ異なるものの、その人に対する想いが強ければ強いほどその感情は増大し、思考は停止し、心は乱れ、何も手に着かなくなってしまいます。それでも私たちは日々のタスクをこなし、生きてゆかねばなりません。そんな時に聴くと心が安まる音楽をセレクトしました。
「Isolation」(’70)/John Lennon
孤立とは本人の意思とは無関係に時を選ばず訪れるものという場合と、自らが望んだ結果として迎え入れるものである場合もありますが、経験上、大切な人を失った時の喪失感においては時間の経過でどちらにもなり得ると捉えています。「Isolation」はアルバム『John Lennon/Plastic Ono Band』(邦題:ジョンの魂)に収録されたジョン・レノンの初のソロアルバムに収録された作品で、当時、ビートルズ解散後のジョンと妻ヨーコの置かれた状況から生まれた、ジョンの心理が綴られたものとして周知されていますが、喪失感を抱えた時に聴いてもじわじわと静かに沁みて、自身の心を深く掘り下げるのに打ってつけの曲。ジェフ・ベックとジョニー・デップのカヴァーも必見です。
「Home」(’07)/Foo Fighters
フーファイターズはロックのイメージが強いバンドですが「Home」に代表される美しいバラードも彼らの魅力。この曲は世界中をツアーで旅した経験からインスピレーションを得て書いたとフロントマンのデイヴ・グロールが述べており、どこで何をしていようとも常に自分の家のように感じられる居場所を求めている人物像を通して、人とのつながりや帰属意識への人間の普遍的な欲求について描かれています。一方で、大切な人を失った時の心境を映す鏡として捉えるファンも多く、“愛する人を見送るときにかけた”という人や“自身が死を迎えるときに聴きたい”という声も。現実を見つめながらも希望は捨てまいと思わせてくれる作品です。