「ナイジェリアで野球を普及し雇用創出を」。兄は元プロ野球選手、“元楽”“楽天マフィア”のマージェリック嶋社長の挑戦
楽天グループの成長を支えた楽天OBの通称“元楽”。なかでも、有名企業の出身者が新たなフィールドで活躍する「○○マフィア」にちなんで、「楽天マフィア」とも呼ばれる経営者も少なくない。 多くのEC事業者のビジネスを支援してきたマージェリックの嶋泰宣社長は、ファーストリテイリング、青山商事、楽天グループのECCなどを経てマージェリックを起業した“元楽”“楽天マフィア”の1人。大手ECサイトなど数多くのEC事業者をサポートしていることで知られる。 その嶋社長がマージェリックの事業として新たに立ち上げたのが、ナイジェリアの「野球普及」、それを通じた「産業創出」「雇用創出」をめざすプロジェクト「MERGERICK NIGERIA」だ。
初期費用は1300万円、クラファンでの賛同者募集もスタート
現在、「Japanese quality」「Made in Nigeria」というコンセプトのグローブブランドを立ち上げるため、グローブの生産準備を進めているマージェリック。初期費用は1300万円を超える見通しで、投資金額は合計で2600万円を計画。自己資金、借入金で賄うと同時に、このプロジェクトの認知拡大、賛同者を募るためのクラウドファンディングもスタートしている。 グローブ技術習得のためのスタッフ採用や研修、プロジェクトを推進するための現地駐在員の採用、製品製造のための機器および原材料調達など、すでに「人」「物」「時間」へ大きな資金を投じている。 ナイジェリアの人口は約2億1800万人。メジャースポーツはサッカー、バスケットボールで、野球をする人は数百人程度。祖業であるECビジネスとは大きく異なるビジネスで、かつ野球に親しむ人も少ないという下地が“ゼロ”といった状況下でプロジェクトを進める原動力は何なのか――。
「この子供たちをどうにか救いたい」がプロジェクト推進の原動力
嶋社長の兄は広島カープで活躍した嶋重宣・現西武ライオンズ一軍打撃コーチ。自身の長男は甲子園常連校で野球部に所属、次男も2024年に名門校へ進学する予定など、野球とは切っては切れない生活を送る。 嶋社長は、幼少期から野球と触れ合う生活を送る一方、商売の表と裏を見聞きしてその楽しさを体験。「商売を通じ世の中に新たな提供価値を生み出したい」と中学時代に起業を決意している。大学卒業後、ファーストリテイリング、青山商事、楽天グループ、フィールドマネージメントを経て、2013年9月にマージェリックを立ち上げた。 ナイジェリアでの野球を通じた「産業創出」「雇用創出」を考えるきっかけになったのは、支援団体の活動の一環として、アフリカ野球振興プロジェクトに参加したこと。その時に、野球をする数少ないナイジェリア人の子どもに、「なぜ野球を選んだのか」を聞いてみたという。