事故を起こし、示談金のためバイトを増やした青年が、とあるマンションを訪れたことから破滅していくホラー短編【作者に訊く】
配達のバイトで訪れたマンション、その6階で異形の存在を見てしまった青年。彼に悲劇をもたらしたのは怪異なのか、それとも人間の業なのか――?「想定外」「予測不能」なショートホラー漫画をSNSに公開している、誰でもない(@daredemonaidare )さん。2023年に公開されたオリジナル作品「6階」は、事故を起こし示談金のためバイトを増やした青年が、とあるマンションを訪れたことから破滅していくホラー短編だ。 【漫画】本編を読む 6階への配達時、一室で異様な影を目撃した青年は、その顛末を友人に語る。だが友人の弁では、そのマンションにはそもそも6階がないのだという。事実を確かめるべく二人は件のマンションへ足を運ぶと、配達した商品は「屋上」にあり、しかもそこでは住人が飛び降りようとしていて――、というストーリーだ。作者の誰でもないさんに、作品のアイデアやホラーを描くうえでの意識を取材した。 ■ホラー漫画「6階」誕生秘話と作者のこだわり この作品のアイデアは「マンションで不気味なことが起こるシチュエーションを描きたい」という作者の思いから生まれた。特に人間ではない住人のシーンは1コマに絞り、不気味さを際立たせるためにあえて派手に描かない工夫が凝らされている。誰でもないさんは「ストレートに怖い話を描くことはSNSでは伸びにくいが、だからこそ挑戦する価値がある」と語り、本作はそのチャレンジの一環として生まれた作品だ。 作中では情報を明かす・伏せるのバランスが重要であり、あえて描かないことで読者の想像力を掻き立てる手法が用いられている。本作での6階で見た存在や花の送り主など、語られない部分が恐怖を煽る。しかし、作者は「説明不足にならないよう気をつけたい」と意識しており、ホラーを描くうえでの緊張感とバランスを大切にしている。 「6階」は読者に強い印象を残し、誰でもないさんの作風の幅を広げる重要な作品となった。彼の作品は、多くの人々に恐怖と同時に楽しさを提供し、ホラー漫画の魅力を再確認させてくれる。興味がある方は、彼のSNSやブログで他の作品もぜひチェックしてほしい。 取材協力:誰でもない(@daredemonaidare)