母の介護で「もう結婚できないよね」岩佐まりアナ(40)仕事の評価も下がるけれど「自分は間違っていない」
■介護で自分の評価が下がる理由がわからない ── 女優の仕事に未練はなかったのでしょうか? 岩佐さん:お芝居をすることが好きだったので、未練はありました。実は2004年、母が55歳のとき、物忘れなどの認知症の症状が出始め、60歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。母はまだ若く、本人も施設に入ることは望んでいませんでした。私自身も母を一番幸せにできるのは自分だと思うし、できる限りのことをしたいと思い、自分で介護しようと決意したんです。
ただ介護にはお金が必要です。仕事がしっかりしていないと収入がなくなり、介護もできなくなってしまいます。そのため話すことが自分の強みであるならば、それに勝負をかけてみよう!と思ったんです。 ── 2006年ということは、岩佐さんはまだ20代ですよね?介護をしながらだと、キャリアアップは大変だったのでは? 岩佐さん:そうですね。まず、仕事面では周りからの評価が下がりました。アナウンサーはいくらでも代わりがいる世界。介護しているから「遠くのロケは無理だろう」「飲み会は誘えない」「結婚できない」など、仕事関係の人にさんざん言われました。そのためキャリアアップは難しいだろうと感じましたね。
── プライベートの時間はどうでしたか? 岩佐さん:なかなか出かけることができないので、プライベートでも誘われることが少なくなりました。たまに合コンに参加していい人がいて「次また会いましょう」と言われても、介護と仕事の両立でとにかく自分の時間を確保するのが大変で、次会うのが本当に難しいんです。 実はその頃に二度ほど会った男性がいました。私が母の介護をしている話をすると、「僕の家はお金持ちだから、介護が必要になったら老人ホームに入居させる。あなたのように自宅で介護する人の気持ちがわからない」と言われて。確かにうちは裕福な家庭ではありませんが、私はやっぱり大切な母のことは自分で介護したい。彼とは根本的に考えが合わないのだと思いました。