NY市場サマリー(15日)ドル上昇・円は90年以来の安値、利回り上昇 株大幅安
<為替> ドル指数が昨年11月上旬以来の高値に上昇した。3月の米小売売上高が予想を上回ったことを受けた。円は1990年以来の安値に沈んだ。 高止まりするインフレや堅調な経済成長を背景に、投資家は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期の予想を後退させており、ドルは上昇を続けてきた。中東情勢の緊迫化もドル需要の高まりにつながっているとされる。 ドル指数は一時106.23と、昨年11月2日以来の高値を付けた。終盤は0.24%高の106.20だった。 一方、円は、ドル高と日米間の大きな金利差を背景に売られ続けている。 ドル/円は0.59%高の154.19円。一時154.45円まで上昇した。 日本の金融当局者は介入への警告を強めているが、ジェフリーズのFXグローバルヘッド、ブラッド・ベクテル氏は、介入を行う可能性があるのは、広範囲にドル高が進行しているときではなく、円相場が低迷するときだとみている。「円が1%超下振れするような大きな変動が必要ではないか」とし、155円など節目とされる水準で介入に踏み切る可能性もあると述べた。 ユーロは0.18%安の1.0623ドル。一時は11月3日以来の安値となる1.0622ドルまで下落する場面があった。 暗号資産(仮想通貨)のビットコインは6.24%下落し6万2950.00ドルだった。 NY外為市場:[USD/J] <債券> 国債利回りが上昇し、10年債利回りは5カ月ぶり高水準を付けた。3月の小売売上高が予想を上回って伸びたことで、FRBの利下げ開始が先送りされるとの見方が強まった。 商務省発表の3月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.7%増と、伸びは市場予想(0.3%増)を上回った。 先週発表の3月の消費者物価指数(CPI)でも、インフレが予想よりも根強い可能性が示唆された。CMEフェドウオッチによると市場では現在、FRBの利下げ着手は9月になると予想されている。先物市場が見込む年末までの利下げ幅は44ベーシスポイント(bp)。年初時点では160bpを超えていた。 アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリアー・リプリー氏は「市場の見方は、経済がこれほど好調なときにFRBは実際に利下げできるのか、という方向にシフトしている」と語った。 イランが13日にイスラエルに向けてドローン(無人機)やミサイルを発射したことを受け、中東情勢が緊迫化。供給網が影響を受け、エネルギー価格が急騰するとの懸念が出ていることも、米国債利回りの上昇につながっている。 ただ、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁はこの日、先週発表された予想を上回るCPIは見通しに影響を与える重要な情報としつつも、転換点になるとはみなしていないと述べ、年内に利下げが始まる公算が大きいという見解を表明。米国債に対する売りの抑制につながった。 10年債利回りは12.9bp上昇の4.628%。 30年債利回りは13.5bp上昇の4.739%。 金利見通し敏感に反映しやすい2年債利回りは5.3bp上昇の4.935%。 米金融・債券市場:[US/BJ] <株式> 大幅安で取引を終えた。好調な米小売売上高を受け序盤は買いが先行したものの、米債利回りの上昇やイラン・イスラエル間の地政学的緊張の高まりを巡る懸念が重しとなり、下げに転じた。 3月の小売売上高が市場予想を上回って増加したため、序盤は上昇。金融株の一角が四半期決算を材料に値を上げたことも全体相場を支援した。 第1・四半期の利益が予想を上回ったゴールドマン・サックスは2.92%高。M&Tバンクとチャールズ・シュワブも上昇し、S&P500金融セクターで値上がり率トップ3に名を連ねた。 しかし、イスラエルとイランの対立で中東情勢の緊迫が続くとの懸念や米国債利回りの上昇とともに主要株価指数は値を消した。 ケース・キャピタル・アドバイザーズのマネジングパートナー、ケン・ポルカリ氏は、前週末に中東情勢を巡る不安感で急落していたため朝方は多少戻したが「地政学的なあらゆる要因が市場に緊張と懸念をもたらすとみられるほか、金利が近い将来に下がらないとの見通しが市場にようやく浸透している」と指摘した。 S&P総合500種は2営業日で2.64%下落と、2023年3月序盤以来の下落率を記録。また、11月2日以来初めて50日移動平均線を下回って終了した。 アップルは2.19%安。市場調査会社IDCのデータによると、同社の第1・四半期のスマートフォン出荷が約10%減少した。 テスラは5.6%下落。全世界の従業員の10%以上をレイオフすることが、ロイターが入手した社内メモで分かった。 セールスフォースは7.28%安。ロイターは同社がデータ管理システムを手掛ける米インフォマティカ買収に向け協議を進めていると報じた。 米国株式市場:[.NJP] <金先物> 中東地域での紛争拡大懸念から「安全資産」としての金が買われ、3営業日続伸した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前週末比8.90ドル(0.37%)高の1オンス=2383.00ドルとなり、史上最高値を更新した。 NY貴金属:[GOL/XJ] <米原油先物> 小反落した。イランによる対イスラエル攻撃が終了したとの見方から、利益確定の売りが台頭。米国産標準油種WTIの中心限月5月物の清算値(終値に相当)は、前週末比0.25ドル(0.29%)安の1バレル=85.41ドルとなった。6月物は0.22ドル安の84.86ドル。 NYMEXエネルギー:[CR/USJ] ドル/円 NY終値 154.27/154.29 始値 153.92 高値 154.44 安値 153.87 ユーロ/ドル NY終値 1.0622/1.0626 始値 1.0657 高値 1.0665 安値 1.0621 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 92*14.50 4.7240% 前営業日終値 94*09.50 4.6030% 10年債(指標銘柄) 17時05分 95*07.00 4.6096% 前営業日終値 96*02.00 4.4990% 5年債(指標銘柄) 17時05分 97*25.50 4.6271% 前営業日終値 98*06.25 4.5350% 2年債(指標銘柄) 17時05分 99*06.88 4.9248% 前営業日終値 99*09.38 4.8820% 終値 前日比 % ダウ工業株30種 37735.11 -248.13 -0.65 前営業日終値 37983.24 ナスダック総合 15885.02 -290.08 -1.79 前営業日終値 16175.09 S&P総合500種 5061.82 -61.59 -1.20 前営業日終値 5123.41 COMEX金 6月限 2383.0 +8.9 前営業日終値 2374.1 COMEX銀 5月限 2871.7 +38.7 前営業日終値 2833.0 北海ブレント 6月限 90.10 ‐0.35 前営業日終値 90.45 米WTI先物 5月限 85.41 ‐0.25 前営業日終値 85.66 CRB商品指数 298.1814 +0.3124 前営業日終値 297.8690