観光産業の温室効果ガス排出量、減らすはずが20年で倍増ペース
観光は富裕層のもの?
観光産業の排出量は、国や所得によって大きな格差が見られます。研究によると、観光産業由来の排出量の75%が上位20カ国に偏っており、その中でもアメリカ、中国、インドが特に顕著で、3カ国だけで調査対象期間における増加分の60%を占めています。 また、1人あたりの排出量をみると、最も旅行をする国(高所得国)と最も旅行をしない国(低所得国)の間には100倍以上の開きがあり、観光が富裕層に偏った活動であることを示唆しています。
持続可能な観光を実現するには
Sun准教授は、観光産業からの排出量を削減するための具体的な対策を提案しています。 「長距離輸送の削減は、航空業界からの排出量削減を促進するために私たちが提案している対策のひとつです。炭素税、排出枠、代替燃料の義務化などの的を絞った対策と平行して取り組むべきです。 また、長距離旅行のマーケティングを縮小し、国内における観光産業の成長率に上限を定めれば、排出量の急速な拡大を抑制するのに役立つでしょう。 地域レベルでは、観光事業者が宿泊施設の運営や食事の提供、娯楽活動に再生可能エネルギーを利用し、交通手段を電気自動車に切り替えるという手段もあります。」 さらに、Sun准教授は旅行者にも行動の変容を求め、以下のように述べています。 「個人は、旅行の意思決定プロセスを見直し、より身近な場所への旅行を検討するとともに、自家用車ではなく公共交通機関の利用を心がける必要があります。」 2019年までのデータということは、コロナ後のオーバーツーリズムの排出量は反映されていないんですよね。ちょっと怖いです…。 Source: Sun et al. 2024 / Nature Communications, University of Queensland Reference: ABC News
Kenji P. Miyajima