ドイツプレミアムブランドが中国で苦戦 景気低迷や価格競争激化 NEVで巻き返したいものの…
中国の景気低迷や市場での価格競争激化の影響が、欧州プレミアム自動車ブランドにも及んでいる。独フォルクスワーゲングループ(VW)のポルシェは、2024年1~6月期の中国販売が前年同期比32.6%減の2万9551台だったと発表した。メルセデス・ベンツ・カーズ、BMWも前年同期を下回った。各社は中国政府が乗り換え施策を進める新エネルギー車(NEV)などで巻き返しを図りたい考えだが、地場メーカーとの激しい価格競争に巻き込まれている。 ポルシェは同国での販売減について、「市場の緊迫した経済状況と価格重視の販売」を要因に挙げる。ドイツ国内を筆頭に欧州販売は前年同期を上回ったが、中国での落ち込みの影響は大きく、グローバル販売でも同6.8%減の15万5975台だった。 他のプレミアムブランドも中国市場の苦境に直面している。メルセデス・ベンツ・カーズは24年1~6月期の中国販売は、同8.8%減の34万1500台。BMWグループも同国での電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の24年1~6月期販売が同4.2%減の37万5947台だったとしている。 中国景気は不透明な状況が続く。第一生命経済研究所は中国の6月の製造業PMI(購買担当者景気指数)の低迷を受け「足元の製造業を取り巻く環境は依然として厳しい展開が続いている」との見解を示す。中国国家統計局によると、同国の1~6月の消費者物価指数は前年同期比0.1%上昇したものの、自動車の価格は同1.8%減、NEVは同4.9%減と下落傾向が顕著だ。 中国政府は、NEVへの買い替えに最大1万元(約22万円)を支給する需要刺激策を展開している。欧州プレミアムブランドもNEVの販売増を狙う方針だが、現地では新興メーカーの安価なNEVが販売を伸ばす。現地スマートフォンメーカーの小米(シャオミ)が今年発売したEV「SU7」は航続距離700キロメートルながら、約22万元(約480万円)の価格を武器に受注を急速に伸ばすなど中国の景気低迷は続いており、引き続き厳しい販売競争が予想される。 (中村 俊甫)