「神騎乗です(笑)」“天皇賞・秋”イクイノックスvs.パンサラッサの名勝負…ルメールに「パンサラッサの大逃げが見えていたら」と問うと?
想定どおりの「ミドルポジション」
イクイノックスは7番枠だったが、スタートすると「すぐに外の馬からプレッシャーがあった」とルメールは言う。 「外の馬からちょっとプレッシャーあったね。2コーナーもちょっと気をつけないといけなかった。でも、シャフリヤールとジオグリフはちょうど前にいましたので、いいポジションを取れた。うん。こういうポジションで嬉しかったです」 それからは前にいるジャックドールやシャフリヤール、ジオグリフらをマークしながら、シミュレーションどおりの「ミドルポジション」で、イクイノックスのペースでレースを進めていった。
パンサラッサ「逃げるのは決めてますけど」
パンサラッサの吉田豊は「逃げる」ことは決めていた。ただ、逃げ馬でもパンサラッサはスタートがそんなに速い馬ではなかった。だから、スタートが遅かったばあいなど、何パターンかのシミュレーションを立てていた。 「逃げるのは決めてますけど、この馬のばあい、ペースを遅くして最後の切れ勝負になるときついので、そういうことも考えながら、毎回、逃げてました。前走の札幌記念もスタートが速くなかったので、天皇賞はうまく逃げたいなと思ってました」 吉田がパンサラッサにはじめて乗ったのは1年前、東京2000mのオクトーバーステークスだった。矢作芳人調教師とは矢作が調教助手をしていたときからの付き合いで、調教師になってからは、関東に馬を連れてきたときなどに乗せてもらう関係だった。 「ほんとうに、ずっと可愛がってもらっていて、たまたまパンサラッサも一番いいときに東京に持ってきて、ぼくも空いてて、そのときに声かけてもらったんです」 はじめて乗ったときは「すごい、やんちゃで、けっこううるさかった」。矢作からは「行けたら、行っちゃって」という簡単な指示があった。矢作は細かく言うこともなく、逃げも大好きな調教師だ。 そのオクトーバーステークスを逃げ切ったパンサラッサは、次の福島記念(菱田裕二騎乗)も逃げ切っている。このときは先に頼まれていた馬がいて乗れなかったが、'22年の中山記念で2度めの依頼があり、ここを逃げ切ってから吉田が主戦となった。続くドバイターフでも逃げて、イギリスのロードノースと1着を分け合った。 「ドバイで自分が乗せてもらえるとは思わなかったですけど、矢作先生から『ドバイに行くか』みたいな感じで言ってもらえて」 帰国後の宝塚記念は8着に終わった。暑い夏はあまり得意な馬ではなく、8月の札幌記念はパンサラッサらしくない逃げになってしまったが、それでもしぶとく2着に粘っていた。しかし、天皇賞では馬の状態は良くなっていた、と吉田は言う。 「ぼくは関東なので、調教は1回も乗ったことないですが、厩務員さんも『涼しくなって、良くなってるよ』という話をしていて、返し馬でもけっこういい感じでしたね。中山記念とか具合のいいときは先頭に立つと、そのままスイスイ行っちゃうような感じなんですが、天皇賞も行きっぷりがぜんぜん違ってました」
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