更年期を乗り切るための【サプリメントとの付き合い方】安全に選ぶための3つのチェック項目とは?
仕事に家庭、介護など、更年期世代の女性は大変忙しいものです。気づいたら自分のことは後回しで、体調を崩してしまっていた…という方もいるかもしれません。そうならないために、サプリメントを活用するのも1つの方法です。とはいえ、サプリメントには副作用やとりすぎによる問題もあります。今回はサプリメントの安全な選び方、活用方法、更年期によく使われるサプリメントなどについて紹介します。 〈写真〉更年期を乗り切るための【サプリメントとの付き合い方】安全に選ぶための3つのチェック項目とは? ■そもそもサプリメントとは? 先日このようなご相談をいただきました。 「疲れやすく、すぐに眠くなってしまいます。フルタイムで働いており、帰宅後に食事5人前、親の介護食を作りますが、毎日ヘトヘトです。サプリメントでものんでみようかなと考え中です。選び方を教えてください」(40代・女性) 40~50代になると、仕事も家庭も忙しく、さらには親の介護が始まっている方もいます。自分のことを考える余裕もない人もいるでしょう。とはいえ、体を壊さないためにも、栄養は上手に取り入れていきたいものです。最近は、コンビニエンスストアやドラッグストアなどにも、多くの種類のサプリメントが並んでいます。そもそも、サプリメントとは何でしょうか?アメリカでは、サプリメントとは「ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブなどの成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状のもの」と定義されています。一方、日本ではサプリメントについて定義はありません。サプリメントは、健康食品に分類される食品であり、健康食品にもサプリメントにも法律上の定義はありません。そのため、サプリメントを活用するときには、自分でどんな栄養が入っているのか、本当に今自分に必要なものなのかを確認することが大切です。 ■サプリメントを取り入れる前に見直すべきこと とはいえ、サプリメントを取り入れる前にするべきことがあります。それは、ふだんの食事の見直しです。野菜、果物、魚、肉、炭水化物などをバランスよく食べられているかどうかの確認からです。とはいえ、毎日忙しいなか、栄養が偏りがちになったり、ときには食事を抜いてしまうときもあるかもしれません。そんなときには、サプリメントをうまく活用するとよいでしょう。 ■サプリメントを選ぶときは必ず裏面で3つチェックする 日本では、食べられるもののうち、医薬品以外のすべてが「食品」と表記されます。まれにサプリメントについて「食品と書かれているので安全です」と勧められることがありますが、そもそも日本では食品以外のサプリメントは存在しません。食品、という表示は安心材料にならないわけです。そのため、効果だけ聞いてよさそうだから飲んでみるのではなく、サプリメントを検討するときは次の3点を確認することが非常に大切です。パッケージの裏面などに表示されています。 ・何が入っているのか、成分表示を見る ・その成分がどれくらい入ってるのか(含有量)をチェックする ・製造販売者は誰か、問い合わせ先を確認する ■とりすぎてはいけない栄養素もある 特に注意が必要なのが、特定の栄養素を摂取しすぎてしまうことです。サプリメントは不足している栄養素を補ったり、体が弱っているときに栄養を補助してくれるものなので、上手に活用するのはとてもよいことだと思います。しかし、とりすぎることで不調や病気を招くことがあるので、注意が必要です。よく含まれているものの例としては、ビタミンがあります。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの「脂溶性ビタミン」と呼ばれるビタミンはとても大切な栄養素ですが、摂取しすぎると肝臓など体内に貯蔵されて排出されず、様々な症状や病気を引き起こすものもあります。体調がすぐれないからといって、手当たり次第にいろいろなサプリメントを飲んでいると、知らないうちに同じ成分を重複してとってしまっていることがあります。どんな栄養素が含まれているのかを自分の目でサプリメントのパッケージなどを確認することがとても大切です。また、病院などで薬を処方されている場合は、その薬とサプリメントとの飲み合わせもあります。医療機関で相談してから摂取するようにしましょう。 ■サプリメントでも副作用はある サプリメントは食品ではありますが、副作用が現れることもあります。“自然” “天然の成分”などと書かれていると安全な気がしてしまいますが、人によってはアレルギーを引き起こしたり、下痢などの消化器症状や、命に関わる可能性のある重篤な肝臓や腎臓の障害が起こることもあります。成分表示に気をつけるだけでなく、摂取しはじめて何か体調によくない変化があったときは、摂取を続けるかどうかを考える、場合によっては医療機関の受診も必要です。 ■更年期によく使われるサプリメント こうしたことに気をつけながら、上手にサプリメントとつきあっていきたいものです。ここでは、更年期の女性によく使われるサプリメントをご紹介しましょう。よく使われるのが「イソフラボン」や「エクオール」などのサプリメントです。これらは女性ホルモンに似た働きをする成分で、摂取することで不調が改善する効果が期待できることがわかっています。一方で、これらの成分は更年期症状を改善するとうたうサプリメントの多くに含まれています。知らないうちにとりすぎていないか、注意が必要です。厚生労働省と農林水産省のホームページでは、納豆や豆腐などの大豆製品も含めて、1日あたりの摂取量の上限は70~75mg(大豆イソフラボンアグリコン換算値)と設定されています。納豆であれば45gのパックを2パック程度、豆腐であれば一丁(300g)程度になります。食事でとろうとすると大変ですが、サプリメントを何種類も飲んでいると、摂取しすぎだったということが起こり得ます。 ■まずは生活習慣の改善を 手軽にとれるサプリメントを考える前に、まずは自分の食事をはじめとした生活習慣を見直すことが大切です。栄養バランスのよい食事をとり、体を動かして、しっかり睡眠をとること。そして、ストレスがかかりすぎないようにするのは難しいかもしれませんが、ストレスと上手に付き合う、もしくは、うまくストレスを上手に回避したり、思い切って環境を変えるということを考えてもよいかもしれません。生活習慣をできるところから見直し、ときにはサプリメントも必要な量を正しく知って上手く活用しながら、心と体を整えていきたいですね。 ライター/永田京子 NPO法人 ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター 1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ3万人以上が受講。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。
永田京子