世界経済のリスク震源地、インフレから政治・戦争・政府債務に移る
中東の戦争が本格化すれば、同地域以外にも大きく影響が及ぶだろう。BEによると、原油価格がバレル当たり100ドルに達し、金融市場でリスクオフの動きが起きた場合、向こう4四半期の世界の成長率は0.5ポイント押し下げられ、インフレ率は0.6ポイント押し上げられる見通しだ。
債務もリスクの一つだ。次の景気減速がいつ来ても、政府の対応策の選択肢が狭まることが見込まれる。IMFは世界の公的債務が今年末までにGDPの93%に相当する100兆ドル(約1京5000兆円)に達するとの見通しを示し、各国政府が借り入れ安定化に向け厳しい決断を下す必要があると警告している。
欧州中央銀行(ECB)前チーフエコノミストのピーター・プラート氏は、「世界が崩壊しつつある中で、どうやってソフトランディングを実現できるのか。米国や他の国・地域が、現在の状況下でソフトランディングを実現できるとは思わない」とし、「ショックが起きるだろう」と指摘した。
原題:World Economy Fault Lines Shift From Prices to Politics and Debt(抜粋)
--取材協力:Zoe Schneeweiss.
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Enda Curran, Jana Randow