自分は「団塊ジュニア世代の代弁者」――安住紳一郎が語る、令和のおじさん総括論
「団塊ジュニア世代のおじさん」の代弁者として
安住自身、ラジオ番組などでも「おじさん」だと公言してはばからないが、自覚し始めたのは35歳を超えてからだという。「おじさん」が広くくくられて、世間から嫌われる風潮については、「まったく損だなとしか思いませんね」とため息をつく。 「それでも街でインタビューしていて面白いのは、やっぱりおじさんたち。本音で話すと、きちんと喜怒哀楽が出てくる。若い世代はSNSネイティブ、炎上する例も見て育ってきたから、反射的に危ない橋を渡らない能力が秀でているんだと思います。おじさん世代はそういう環境で育っていないので、つい本音が漏れて、『面白い』とか、『バカだよねー』って、人間らしくて共感を呼びやすい。でも後で問題になってしまうという(笑) 」 安住は、現代のおじさんは「昭和30年代のおじさん」「バブル期のおじさん」「団塊ジュニア世代のおじさん」の3世代に分かれると指摘する。安住が属するのは「団塊ジュニア世代のおじさん」。3世代の中でも一番憂き目を見た世代だ、となぜか胸を張った。
「女性も含め、僕たち団塊ジュニア世代は本当に損ばかりでした。今、年間に出生する赤ちゃんは約90万人。私たちの世代は200万人いたんです。学校などもパンパンになって大変、でも文句言うなっていう時代でした。だから一生懸命頑張ってきたのに目の前でバブルははじけて、大学受験は熾烈、就職先もない……社会への恨みは、かなりあります。同世代の人たちからは、免許で守られた企業に新卒で入ったお前が何を言ってるんだと思われるかもしれないけれど、同級生で優秀だった人たちが適正に評価されない事例をいくつも見ましたから。こういう仕事をしているからこそ、彼らの代弁者になるべきだという気持ちは、強く持っているんです」
若い世代に受け継ぎたい「秘薬の壺」
団塊ジュニア世代の代弁者という自負は抱きつつも、若い世代とは良好な関係を築いていたい。「おじさん」を自覚した安住が、30代から心がけていることがある。 「年齢とともに周りの自分の受け取り方が変わりますよね。おじさんになると、怖がられるじゃないですか。語調を明るめにしたり、注意するときも演説口調にならないように気をつけたりするようになりました。自分の経験談を含めて、弱みもきちんと先に見せる。そういうふうに、自身を矯正してきました」