尹政権の外交実力、「第2次トランプ政権活用法」で本当の成績表受ける(1)
韓米同盟と価値外交に基盤を置いた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の外交にとって、同盟さえも取引主義的に認識するトランプ前米大統領の再選は大きな試験台になりそうだ。第1次トランプ政権で得た「学習効果」を基盤とするものの、一層激しくなる米中競争など変化する対内外環境を考慮して高まった韓国の価値を刻印させることが賢明な「トランプ第2次政権活用法」の核心と指摘される。 第1次トランプ政権当時、文在寅(ムン・ジェイン)政権は北朝鮮問題を中心にした対米外交を展開し、米政権当局者から「北朝鮮問題さえ扱えば他の不満はない国」と評価されたりした。だが第2次トランプ政権では米国も韓国も変わった。米中間の戦略競争の次元や米国の対中圧力レベルが当時と比較できないほど高くなり、尹政権は早くから安全保障と経済の両方を米国中心に置く路線を設定した。 バイデン政権が同盟と友邦を糾合した連帯の形態で中国を圧迫する方式を選んだとすれば、トランプ氏は強力な関税政策を武器にして直接的に中国に制裁を加える可能性が大きい。この過程で同盟の腕をねじることもためらわないのがトランプ氏だ。第1次政権当時も中国の通信装備企業ファーウェイの装備を使う韓国企業を執拗に圧迫した。 ただ今後も先端分野で最も強力な米中競争が広がる可能性が大きい中で、半導体など韓国の産業能力が実利主義者であるトランプ氏を相手に交渉力を高めるカギにすることもできる。トランプ氏がバイデン政権のCHIPS法を批判し韓国企業に対する補助金支給などが縮小される懸念も出ているが、中国との競争で圧倒的優位を守るには韓国は必須のパートナーであるためだ。 このように韓国が「トランプの米国」に役立つ国という認識を持たせることは北朝鮮の核問題などから韓国を排除できないようにテコの役割をするなど主要外交懸案全般にも影響を及ぼしかねない。 第1次トランプ政権の際に外交部長官特別補佐官、次官補などを務めた与党「国民の力」の金健(キム・ゴン)議員は、「重要なのはトランプ氏のMAGA(米国を再び偉大に)を達成するのに韓国が必要な存在である点を認識させること。トランプ氏は最初に立場を無理に掲げるが、結局は実用的な事業家という側面でアプローチするべきで、過度に不安になったり心配すればかえって交渉で不利になりかねない」と話した。 防衛費問題も同じだ。韓米は先月妥結した第12次韓米防衛費分担特別協定(SMA)を通じ、2026年から2030年まで5年間に初年度の総額を前年に比べ8.3%引き上げた後、毎年物価に連動して分担金を引き上げることにした。だがトランプ氏が選挙期間中に韓国を「マネーマシン」などと比喩しながら防衛費の大幅増額を主張しただけに、協定を破棄して再協議を求める可能性が大きい。 再協議をしても前回の協定よりも韓国側の負担を減らした今回の協定を基準点とすることが韓国に有利な側面がある。韓国国内批准手続きなどを終えひとまず第12次協定を速やかに発効することが重要という指摘が出る理由だ。外交部の趙兌烈(チョ・テヨル)長官は7日の国会で「(米国側の)再協議要求がもしあるとしても終わった交渉結果に基づいて議論することが韓国に有利だと考える」と話した。