[山口県]口座残高が4500万円少なく 防府市シルバー人材センター 決算額と比較で、被害届提出
山口県の防府市シルバー人材センターは2日、運転資金などの銀行口座の残高が2020年度から22年度までの決算額より4529万4371円少ない不明朗な会計が発覚したと発表した。何者かが出金した形跡があるものの、昨年11月に事務所で発生した火災で経理関係書類が焼失したため実際の被害額は分かっておらず、被疑者、被害額、容疑など不詳の状態で防府署に被害届を提出した。 センターによると、2月22日に1月分の配分金の一部が会員に支払われなかったため、運転資金の口座がある銀行に問い合わせたところ、残高がほとんどなくなっていたことが判明。口座の入出金表と決算資料を比較したところ、20年度2484万2193円、21年度1337万3383円、22年度707万8795円、計4529万4371円少ないことが分かった。 銀行口座は、出納担当だった契約職員の女性が通帳を、会計責任者だった事務局長の女性が銀行印をそれぞれ管理していた。契約職員は配分金が支払われなかった当日に自宅で倒れて3月末で退職し、現在も意識不明の状態で事情聴取ができていない。一方の事務局長は病気を理由に3月末で退職して県外へ転出し、関与を否定しているという。 経理事務はこの女性2人が約10年にわたって交代することなく担当していた。センターは11月に弁護士と税理士、社会保険労務士で構成する第三者委員会を設置。事務局長だった女性に対し、銀行口座の通帳を確認せず職務怠慢で不明朗な会計を引き起こしたとして、不動産と預貯金などの仮押さえと4746万6565円の損害賠償を求める訴訟を起こした。 2日に防府市八王子の市創業・交流センターで会見した阿部裕明理事長は「会員、市民、関係者の皆さんに深くおわび申し上げる。失った信頼を取り戻すためにも、第三者委員会で意見を伺いながら再発防止に取り組む」と謝罪。具体的な被害状況と原因の究明については警察の捜査に委ねる方針を示した。