「白髪染めや前髪カットだけ、いつもと違うサロンへ行っても大丈夫?」美容師の本音を聞いてみた!
Q:白髪染めや前髪カットなどを専門店で施術を受けることに、どう感じていますか?
A:どのサロンに行こうがそれはお客様が決めること。実際に、うちのお客様でも別のヘアサロンで前髪や毛先をカットしたり、白髪の根元染めをしたりする方はいますよ。本音を言えばうちのサロンに来てほしいけど(笑)、来ないからダメというわけでもない。もちろん、うちに来てくれたらきれいにして帰ってもらおうと施術しています(上妻さん)
Q:ヘアサロンと「毛染めの窓口」のような専門店とのすみ分けについてはどう感じていますか?
A:ヘアサロンの良いところは、カットもカラーも一人ひとりに合わせたデザインができること。今までと違うヘアスタイルをしたいとか、思い切ってカラーチェンジをしたいという時は、ヘアサロンで相談するでしょう。つまり悩みやリクエストを聞いてオーダーメイドで叶えられることです。デザイン力はヘアサロンならではの強み、だと感じています(上妻さん)
Q:ヘアサロンが提案する「デザイン力」とは?
A:肌色や瞳の色・顔の形・髪の量・クセなども考慮して、その人に似合うスタイルにしていくことです。カラーリングをする際もその人に似合う色を作る(混ぜる)し、塗り方も変えています。 例えば、長谷川さんの場合、根元は白髪染め、中間から毛先はカラーリングというような細かな計算をしているんです。色も髪の量が多いのでブラックにするとシルエットが重い印象になってしまう。かといって明るすぎるとファッションと合わないため、寒色系のブラウン(アッシュやマット)を選んでいます。トーンは染めたては7~9くらい。こういう細かな積み上げがデザイン力となっているんです(上妻さん)
ヘアサロンも進化しないと生き残れない時代「きれい」の提案が変わったきっかけ
「カットやカラーリングのみの“お手入れ”に特化したサービスを提供するお店が増えたことについては、『時代が変わったなぁ』と感じています」と上妻さん。 「お客様の声を形にしたサービスだから、それはそれでアリだと思うんです。時間がない、もっと手軽に済ませたい、お財布の負担を軽くしたい事情に応えてくれるサービスというのは今後もなくならないだろうし、選択肢は逆に増えていくんじゃないかな? そうなると『ヘアサロンにしかできない強み』って何だろう? と考えた時、ヘアサロンにコスパ・タイパを求めるのはちょっと違うかなって。やはりデザイン力なのかな。この強みを最大化した方が差別化できるし、結果としてお客様も通いやすくなると思うんです」(上妻さん) そのきっかけになったのは、コロナ禍の変化だったそう。 「外出の自粛でお客様の来店が激減した時点でも、プロの手を借りたケアやサービスを受けたいというお客様がいて、来店してくださったんです。僕たちの技術を信じて委ねてくれることに感謝せずにはいられませんでした。その時に、お客様の満足度をもっと高めるためのサービスを作ろうと思いつきました。それがトータルビューティのサービスの提供だったんです」(上妻さん) Roopsで今、力を入れているのはケアメニューの拡大で、注力したのはオリジナルのトリートメント剤と水素を混ぜ合わせて浸透&サラサラな髪を叶える高濃度水素トリートメントなんだそう。 「サラサラな指通りに感動するんですよ。最近ではカットとセットで受けるお客様が多くなりました。余談ですが、このトリートメントを受けるお客様は頭皮ケア(ヘッドスパ)や髪質改善など高い技術を要するメニューも受けているんですよ。 それからサロンという枠を超えた新しい取り組みも始めました。コルギやパーソナルトレーニングのスペースをサロン内に設けたり、ウェディング会社と提携してスタッフを派遣しています。きれいを叶えるのは何も髪だけではないですからね」(上妻さん) ヘアサロンといえども、白髪染めや髪質改善、ブローのみの施術といったそれぞれの施術に特化した店舗から、トータルで美しさを叶えてくれる店舗までそれぞれ特徴があります。サロンのウリを上手に使い分ける時代になってきたんですね。
撮影/後藤渉 取材・文/長谷川真弓 構成/國見 香
長谷川 真弓