神事に欠かせぬサカキ 国産シェア奪還へ苗販売 中国産が市場の9割
国産サカキのシェアを広げようと花き卸の大田花きと種苗メーカーのミヨシは今秋、メリクロン技術で生産した2品種の苗の販売を始めた。国内で流通するサカキの約9割が中国産といわれる中、苗から”国産化”し、生産性も上げて安定的な供給を目指す。 1990年代後半以降、国内の生産者の減少や安価な中国産の台頭で、国産は減少。現在では、国内市場で流通するサカキの約9割が中国産といわれている。日本の神道と関わりが深く神事や神棚に欠かせないもののため、国産にこだわる人も一定数いる中で安定的な供給が課題だった。 今回、販売を始めた苗は東京都・八丈島でヒサカキを生産する奥山完己さんの圃場(ほじょう)から選抜された、「八丈島榊(さかき)神沢」と「八丈島榊柃(れい)」の2品種。「八丈島榊神沢」はしなやかさを重視し、束加工しやすく、「八丈島榊柃」は力強さがあり1、2本で飾る際にも使いやすいのが特徴だ。合わせて8000株の販売を目指す。 国産のシェア奪還に向け、ミヨシがメリクロン技術で苗を生産。同技術を用いることで枝ぶりや葉のそろいが良いという。通常、安定的に生産できるまでには5~10年かかるが、今回の苗では4、5年での安定生産を目指し、生育期間が短縮されることで生産性の向上が期待できる。今後定植作業を経て、3、4年後には市場流通が始まる予定だ。 大田花きは「ゆくゆくは国産シェア5割を目指したい。神棚などで飾る以外にも日常的に飾ってもらえるような提案もしていきたい」と話す。