日常生活で“無礼な扱い”を受けると老ける!? 「老化と差別」の関係を明らかにした最新研究
アメリカのニューヨーク大学の研究グループは「差別を受けることで、老化の生物学的プロセスを早める可能性がある」という研究結果を発表しました。この内容について中路医師に伺いました。 【この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております】
アメリカのニューヨーク大学が発表した内容とは?
編集部:アメリカのニューヨーク大学の研究グループが発表した内容について教えてください。 中路先生:今回紹介する研究はニューヨーク大学の研究グループが実施したもので、研究結果は学術誌「Brain, Behavior, & Immunity-Health」に掲載されています。 研究グループは、アメリカの成人約2000人から血液サンプルと調査票を収集して研究を実施しました。参加者には、「日常的差別」「重大な差別」「職場差別」の3つの差別経験について質問しました。 日常的差別とは、日常生活における微妙で些細な無礼の事例を指します。重大な差別は、警察官から身体的に脅されるなど、強烈な差別の事例に焦点を当てています。 職場における差別には、不当な慣行、職業上の機会の阻害、アイデンティティに基づく処罰などが含まれました。 研究の結果、こうした差別が生物学的老化の促進に関連していることを研究グループは明らかにしました。日常的な差別と重大な差別は一貫して生物学的老化と関連していました。 また、職場で差別を受けた場合も老化の加速と関連していましたが、その影響は比較的軽いものでした。黒人の研究参加者はより多くの差別を報告し、生物学的年齢が高く、生物学的老化が早い傾向がありました。 一方で、白人の研究参加者は差別が少ない傾向にありました。おそらく差別を受ける頻度が低く、対処戦略も少なかったため、差別を受けたときにその影響を受けやすいという結果が出ました。 研究グループは、今回の研究で得られた結果について「これらの知見は健康な老化を支援し、健康の公平性を促進するために、あらゆる形態の差別に対処することの重要性を強調するものです」と述べています。