「300人の大行列」「万代・ライフに宣戦布告?」 大阪初進出で話題のオーケー。その魅力と、現地を歩いた私が抱いた“一抹の不安”
しかし、逆にその体験こそが今回の出店に「ドラマ性」を与え、報道の過熱ぶりを生み出している。 ■「高井田戦争」が勃発している もう一つ、今回の出店でドラマチックなのは、高井田という土地の特徴だ。出店地の周辺には7つものスーパーがあり、関西圏でも指折りのスーパー激戦区だ。 よく、スーパーが大量に出店する土地は「戦争」に例えられる。関東でいえば、千葉県の津田沼や東京都の赤羽での出店争いは「津田沼戦争」、「赤羽戦争」と呼ばれていた。その点で、まさに「高井田戦争」が勃発している。
オーケーのすぐ近くには「ライフ」があり、さらにその近くには関西圏を代表する地場スーパー「万代」がある。 しかも興味深いのは、それらのスーパーは、個性が立っていて、それぞれがあらゆる需要に対応している、ということだ。 ライフがどちらかといえば製品の質を売りにした中価格帯のスーパーであるのに対し、万代は特売日などを大胆に設けた、安売りが自慢のスーパーである。 実際に筆者はオーケー高井田店周辺を歩きながら、これらのスーパーを視察しているが、低価格が売りのオーケーの本当の強敵になるのは、万代だと考えている。
一方のライフもオーケーの進出に徹底抗戦する構えを見せている。売り場の大規模な改装を行ったのだ。高井田は関西のベッドタウンで、20~40代のファミリー層や単身者が多い。それに合わせ、惣菜や冷凍食品の取り扱いを多くした。特にライフは惣菜に強く、この強化は地元住民にとって心強いだろう。 このように、高井田はさまざまな価格帯のスーパーが周辺に揃っている環境であり、オーケーが関西でもその力を発揮できるかどうかを試すにはもってこいの環境である。まさに、「高井田戦争」ともいえる熾烈な争いが予想されるわけだ。この点でもメディアの注目を引くには十分だ。
■高井田が「関西スーパー戦争」の総司令部に? ちなみに今回のオーケー関西初出店は、「高井田戦争」を引き起こすのみならず、関西のスーパー勢力図そのものを変える可能性があると筆者は考えている。オーケー側がこの高井田店を中心基地として、関西での勢力拡大をはかっているように見えるからだ。実は、高井田店の5階には、オーケーの関西本部が入っている。 同社はすでに、今後も積極的に関西への出店を続けることを明らかにしている。2カ月後の2025年1月には兵庫県の西宮に2号店、2025年春には兵庫県尼崎に3号店を出店する。その後の出店も予定されており、関西各地でバチバチやっていく感を強く打ち出している。