「300人の大行列」「万代・ライフに宣戦布告?」 大阪初進出で話題のオーケー。その魅力と、現地を歩いた私が抱いた“一抹の不安”
EDLPに限らず、オーケーの安さへのこだわりは「執念」ともいえて、例えば「競合店対抗値下げ」なる制度は、ある商品が近隣のスーパーよりも高かった場合、それに合わせて値を下げるというものだ。「地域一番の安値」を実現すべく取り入れられた仕組みである。 また、オーケーの会員システムの「オーケークラブ」は、会員カード発行費用200円を払って自宅の郵便番号を申告すれば、入会金・年会費無料で現金払いの場合、酒類を除く食料品が3%近く割引される。入会の手軽さとお得さから、2023年3月時点で677万人の会員数を擁している。
上記のようなユニークかつコスパのよい取り組みもあって、オーケーは高い顧客満足度を有していたのだろう。 ただ、オーケーはこれまで、首都圏近縁を一周する国道16号線の内側を中心として出店を展開していて、関西では「噂は聞くけど近くにない……」という状態が続いていた。そのため、関西圏の住民にとってはある意味で「待ち望まれた」出店となったわけだ。 これが、「やっと私たちの街にも『あのオーケーが!』」というある種の熱狂状態を作ったのだろう。
■失敗の経験が、関西初出店をドラマチックにした 2つ目は、これがオーケーにとって、2度目の関西進出チャレンジだったことだ。関西出店をめぐるドラマのような攻防があった。 オーケーは2021年、関西の地場スーパーである「関西スーパーマーケット」の買収計画を立てていた。しかしその直後、イズミヤや阪急百貨店の経営で知られるエイチ・ツー・オー リテイリングが関西スーパーと経営統合を行うことが決定。一方のオーケー側は、この経営統合が決まった臨時株主総会での議決に疑義があるとして、統合の差し止め処分を裁判所に訴え出る。
しかしこの処分に不服を申し出た関西スーパーが控訴し、法廷闘争にまでもつれこんだ。最高裁にまで及んだ裁判の結果、オーケーは関西スーパーの買収権争奪争いに敗北し、関西進出の機会を失ってしまったのだった。 オーケーは裁判に敗訴する年に、今回の高井田店の土地を落札。関西進出に失敗した悔しさが滲み出るようなスピード感だが、そこから出店計画を進め、3年越しの悲願という言葉がふさわしいオープンへとこぎつけた。オーケーにしてみれば、一連の出来事はなるべく経験したくなかっただろう。