札幌日大・田中涼介 天国の父へ甲子園は「最高だったよ」 「やってきたことに悔いはない」夢の公認会計士目指す
「全国高校野球選手権・1回戦、京都国際7-3札幌日大」(8日、甲子園球場) 夜空に包まれた甲子園。夢の舞台で、最後まで諦めずに戦った。天国の父に伝えたい。「最高だったよ」。札幌日大・田中涼介外野手(3年)は赤くした目で、真っすぐに未来を見つめた。 「怒られたことはあまりなくて、子どものために頑張ってくれる優しい父でした」 昨年5月8日、ガンを患っていた父・植次(しげじ)さんが57歳で他界。「定期的に入院はしていましたが、(一昨年)12月から1月ごろに一気に悪くなってしまって…」。早すぎる別れだった。 野球経験はないものの、Youtubeなどで勉強しアドバイスを送ってくれた植次さん。仕事から帰ると、素振りを見てもらうのが日課だった。「(父の助言は)分かりやすかったです。打つときに前に突っ込んでしまう癖があったので、頭を動かさずに振るというのはよく言われていました」。カバンの中にはいつも、エスコンフィールド北海道の壁画をバックに写る父の写真を入れて、力に変えている。 この日は6点を追う九回1死一塁に代打で登場。三振に倒れたが「やってきたことに悔いはない」と言い切った。野球には区切りをつける。 「人に貢献できる人になりたい」と夢は公認会計士。「高校野球で学んだことを生かして立派な人生を歩みたいです」。自分のために一生懸命になってくれた父のように、誰かのために努力を重ねる。 ◆田中 涼介(たなか・りょうすけ)2006年6月14日生まれ。18歳。北海道出身。165センチ、73キロ。右投げ右打ち。小学4年時から北の台カープジュニアで野球を始め、北広島市立東部中の野球部でプレー。札幌日大では2年秋からベンチ入り。50メートル走6秒6、遠投90メートル。