渋谷に誕生する新しい美術館「UESHIMA MUSEUM」をレポート。670点に及ぶ現代アート・コレクションの一部が6月から一般公開
670点を超える「UESHIMA COLLECTION」の一部が公開
2024年6月1日、東京・渋谷に新しい美術館UESHIMA MUSEUMがオープンする。事業家・投資家である植島幹九郎が収集した現代アートのコレクション「UESHIMA COLLECTION」の一般公開を目的に作られた同館。本記事では一般公開に先駆けて行われたプレス向け内覧会の様子をレポートする。 同館は、植島の出身母校でもあり「自調自考」を目標に国際的な視野や高い倫理観を重視した教育で定評のある渋谷教育学園の敷地内に誕生。建物は、ブリティッシュ・スクール・イン・東京が2023年8月まで利用していた建物を「渋谷教育学園 植島タワー」としてリノベーションして開館した。建築はOKB+tan.設計室+義山建築設計事務所によるもので、実際に学校の施設として使われていた地下1階から6階までの全7フロアと、階段や渡り廊下だった空間までが展示室として生まれかわった。 オープニング展では、全部で670点に及ぶ「UESHIMA COLLECTION」のなかから、展示室ごとのテーマに沿った選りすぐりの作品が展示。構成のアドバイザーはキュレーター、プロデューサーの山峰潤也が担当した。
1日1作品以上のペースで集められたコレクション
2022年から現代アートの収集を開始した植島館長。同年はほとんどの時間をコレクションの収集やアートについてのリサーチに費やしていたという。オンラインで行われていたオークションに昼夜問わず参加し、1日1.5点を超える並々ならぬスピード感でコレクションを形成した。いままでもウェブサイトやInstagramでコレクションの公開は行っていたが、かねてより美術館というリアルな場で作品を公開・展示したいという強い気持ちがあり、そのような思いが今回ようやく実を結んだ。 本展は地下1階から順に階層を上がっていくような構成となっており、最初のフロア(地下1階)では抽象絵画がテーマとなっている。イケムラ・レイコ、 カタリーナ・グロッセ、ベルナール・フリズなど、絵画が時代遅れとされていた1970年代に新しい絵画の可能性を探求した抽象画家たちの作品が展示される。 つづく1階ではミカ・タジマ、岡﨑乾二郎の2人のアーティストの作品が展示される。後半に展示されている岡﨑の最新作には、病気から復帰した彼が彫刻表現を行うことでだんだんと気力を取り戻していったという背景があるのだと、アドバイザーの山峰は語った。