ハリケーン『へリーン』は米大統領選挙の『オクトーバー・サプライズ』になるか
郵便投票に影響も
共和党のトランプ大統領候補は、バイデン政権の対応が遅い、との批判を強めている。しかしそうした批判は、かつての自身の失策を国民に思い出させる結果となる可能性もある。トランプ氏は大統領時代、ハリケーンで被災したプエルトリコへの支援が遅れたことや、自身が進める不法移民阻止の取り組みのための資金調達の一環として、自然災害に対応する連邦緊急事態管理庁(FEMA)から資金を移したことを巡り批判を受けていた。ハリケーンへの対応は、ハリス氏に有利になることも、トランプ氏に有利になることもあり得る状況だ。 また、ハリケーンは、技術的な面からも、大統領選挙に影響を与えている。ノースカロライナ州では郵便投票のための投票用紙の配布が始まったばかりだったが、ハリケーンの影響で10を超える選挙事務所が閉鎖され、州内の郵便局も業務を停止した。 (参考資料) "Hurricane Helene Scrambles Campaign Calculus for Harris and Trump(激戦州のハリケーン被災、米大統領選の波乱要因に)", Wall Street Journal, October 4, 2024 「ハリケーン死者200人超―米、経済損失36兆円超も」、2024年10月4日、共同通信ニュース 「大口献金、争奪激化――ハリケーン、激戦州直撃 一部で期日前投票停止 支援策、勝敗に影響も(米大統領選2024)」、2024年10月4日、日本経済新聞 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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