相次ぐ企業や有名人の謝罪会見 なぜ増えてきた?
事故や不祥事などでおこなわれる謝罪・釈明会見がこのところ増えてきています。古くはミドリ十字の土下座会見(1996年)や山一證券の号泣会見(1997年)などが印象的かもしれませんが、今年になっても、佐村河内守氏、野々村竜太郎元県議、小保方晴子氏といった個人から、マクドナルド、ベネッセ、ファミリーマートなど企業のトップが謝罪する多くの記者会見が行われました。謝罪・釈明をする記者会見は、なぜ増えてきたのでしょうか。
説明責任求める“圧力”高まる
「謝罪会見の要求に応じるためだけではなく、発生してしまった事故や不祥事をどう捉え、どう向き合い、どう対処していくかという当事者としての姿勢や方針を、会見を通じて、被害者、消費者、関係者をはじめとしたパブリックに向けて発信することにより、不安や不満や誤解を解消しようという考えが増えてきたということが背景にあります 」 こう話すのは株式会社プラップジャパンの危機管理主席コンサルタント・井口明彦さんです。同社は広報・PRの支援、コンサルティングをメインとする会社です。 住宅地に近い工場で爆発事故が起きた場合、地域の住民にはその煙が人体にどんな影響があるのか、いつごろ収束するのかなど生活への不安が生まれます。異物が混入した食品が発覚した場合、消費者は自分が食べたものが大丈夫なのか、体にどう影響が出るのか、不安になります。これらに対する説明責任を事故を起こした企業は求められます。 また、事故ではなくても不祥事を起こした著名人は、それによる社会的影響が大きいため、説明責任が生じます。また、説明責任を果たさずに、沈黙を続けると、それによって批判が高まります。 さらにインターネットの普及によって“炎上”という事態が発生することもあります。アクセスが集中しHPがダウンする、SNSなどを通じて必ずしも正確ではないネガティブな情報が氾濫する、不買運動などが起こり、それらが連帯するようになる、などが起こる可能性があるのです。炎上は企業価値を下げるリスクとなります。 ネット社会となったことによって、説明責任を果たすよう求める圧力は、以前と比べて高まったという背景もあるでしょう。こうして、説明する場――記者会見が開催されるのです。