あいみょんの「マリーゴールド」は、なぜ“1億回再生”を達成できたのか?
■〈アーティスト〉プレイリストを味方につけたあいみょん 音楽配信サービス時代を代表するアーティストと言えば、あいみょんを外せないだろう。2018年にリリースした《マリーゴールド》が2019年6月に日本国内アーティストとして初のストリーミングで累計1億再生を達成すると、2023年中には9曲が1億回を達成した。 ちなみに、2023年で1億回達成楽曲は200曲を超えている。「日経トレンディ」の記事によると、あいみょんはSpotifyから生まれたビッグアーティストであるという。最初にあいみょんの人気に大きく火がついたのは、2018年の夏だった。2018年夏に《マリーゴールド》をリリースし、テレビ音楽番組での露出が増えると、全国的なヒットとなる。 じつは、Spotifyの担当者は、リリースと同時にこの曲のブレイクを予測し、新譜紹介のプレイリストやその他の人気プレイリスト多数にあいみょんをピックアップしていたのだ。これらのプレイリストでリスナーとの接点を広く用意していたことが、テレビ出演などのプロモーションと連動して急激なリスナー数の拡大につながったという。 Spotify が、ブレイクを予測できたのは、今後の活躍を期待し、アーティストを応援するプレイリスト「Early Noise」(2017年)にあいみょんを選んでいたことが大きい。それによって、あいみょんが初期の段階のリスナーを獲得し、このリスナーたちの視聴行動データを、早い段階で分析できたことが奏功したという。 これまでもレコード会社は、CDの売上データやコンサートの動員などのさまざまなデータを分析し、アーティストのプロモートに活かしてきた。 しかし、音楽ストリーミングサービスでは、それらのデータに加えてさらに詳細なユーザーの音楽聴取データを分析することで、より高度なアーティスト、プロモート戦略を立てることができるようになった。いつ、誰が、どの楽曲を聴いているというデータをリアルタイムで取得できる進化したデバイスは、音楽を提供するアーティストサイドのプロモーションも大きく変えたのである。
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