『ザ☆ウルトラマン』ふたりのムツミ隊員は声優人生の原点? 島本須美インタビュー
多くを学んだ偉大な先輩たちの姿
◆多くを学んだ偉大な先輩たちの姿◆ ――ほかの出演者の方も、改めて見ると錚々たるメンバーですね。 島本 すごいでしょう? ――はい。いわゆる実写畑の方も参加していて、独特な座組になっているなと。 島本 この時代は声優がやりたくて声優になったというより、舞台の勉強をされた俳優さんが、役者の仕事の一つとして声優をやるというのが普通だったんです。アフレコ現場は、今だと皆さん自分でペットボトルなり水筒なりを持ってくるんですが、当時は若手がお茶を準備して、挨拶しながらお渡しすることが当たり前で。だから、新人で紅一点だった私が、給湯室でお茶を入れたり、カンパをいただいてお菓子を買ってきたり、皆さんが帰られた後にお茶碗を片付けていました。 ――アフレコで印象に残っていることはありますか? 島本 今はDVDをいただいて事前にしゃべるタイミングを勉強し、ラステスと本番をやるんですが、当時は現場で絵を見てテスト、ラステス、本番と3回まわしで録っていたんです。テストの後、ディレクターから演出を受けてラステスをやり、さらに演出されて本番に臨むんですが、演出による演者の変わり様がとても面白かったし、勉強になりました。その中で演出以上のものを返すところを見ると、ものすごく感激しましたね。コロナ禍で別々に録るようになったりもしたので、今の若い方たちが当時みたいに勉強できているのか、少し心配な気持ちもあります。 ――ブルーレイBOX収録の『長篇アニメ映画 ザ☆ウルトラマン ウルトラの星へ!!』では、島本さんが新規のナレーションを担当しています。 島本 収録に合わせて観返してみたら、なんか私が思っていたよりも面白かったですね。収録しているときは画の完成度があまり高くなくて、オンエアで「そういうことだったんだ」と感じることが多かったんです。今観ると脚本も面白いし、達者な役者さんがたくさん出演されているから聴き応えもあって、とても良く出来た作品だと思いました。ムツミ隊員を見ていても、気の強い女の子を一生懸命やっていたなと。「ふたりのムツミ隊員」という話(第24話)を観返したときに、本物と宇宙人が扮装したムツミ隊員を若いなりに演じ分けていて、自分で感動しちゃいました。宇宙人のほうのムツミ隊員は、繊細で儚げな感じのある女の子だったんですが、今にして思うとその後たくさん演じさせていただいた美少女キャラの演技のベースになっていたのかもしれないなと感じました。 ――ある意味、ムツミ隊員なくして今の島本さんはないかもしれないと。 島本 その可能性はありますね、宣伝的に言うなら(笑)。でもこの作品が、後の声優としての仕事のベースになっている部分は間違いなくあると思います。 (C)円谷プロ
佐久間 翔大