補償されないグレーゾーン、気がつかないで…新手のカード詐欺「なりすまし型バナー広告」の意外なワナ
サイトの一部になりすました「バナー広告」とは?
そして、今年に入ってから被害が散見されるようになったのが、「なりすましバナー広告」タイプだ。その名のとおり、おもにWebサイトに表示されるバナー広告が入口となっている手法のことである。 Webサイトやスマートフォンのアプリを見ていると、頻繁に画面上にバナー広告が表示される。通常のバナー広告の場合、クリックすると、商品やサービスに関連した画像や動画が広告として流れてくる。 しかし、「なりすましバナー広告」の場合、ユーザーはバナー広告として認識していない。サイトの一部だと思い込んでいる。その理由は、商品名やサービス名などは一切表示されず、その代わりに「スタート」や「続行」、「ダウンロード」といった文字が入ったクリック用のボタンだけが大きく表示されているからだ。 このように「なりすましバナー広告」の最大の特徴は、一見、バナー広告とはみえず、サイトの一部に〝なりすまし〟ていること。サイトを利用しようとしている人が、間違ってそのバナーをクリックすることを狙っているのである。 ◆「無料登録」の言葉に油断してカード情報の入力をすると…… この「なりすましバナー広告」をクリックすると、メールアドレスでアカウントを作り、最終的には、クレジットカードの情報を入力するように指示される。 その段階でも、ユーザーは、自分が表示したWebサイトを利用するための手続きだと思い込んでいる。ところどころで、「アカウントの作成は無料」「無料で登録できる」「登録したクレジットカードに課金はされない」といった説明がついて回るのだ。 カード情報の登録を済ませても課金されないことが明示されるが、利用規約のリンクを開くと、いきなり長文の英語が出てくる。そこには、「契約内容」として、「5日間の無料期間の間に解約しない場合は月額●●●●円が課金される」といったことが英語で書かれている。この金額を見た段階で、ほとんどの人が「変なサイトにひっかかった」と分かる。 ◆無料ソフトがダウンロードできるサイトが狙われている ここまでの説明を聞いて、「何でカード情報まで登録してしまうのか?」と疑問を感じた人も多いだろう。それにはいくつかの理由が考えられる。 「なりすましバナー広告」は、動画やゲームの無料サイトや、ビジネス系ソフトウェアの運営サイトなど、あらゆるWebサイトに登場している。共通しているのは「無料ソフトのダウンロードができる」ところ。 例えば、オンラインのファイルストレージが利用できるサイトに表示されていると、使いたい人はあまり抵抗なくクリックしてしまう可能性がある。それほど、絶妙な位置に表示され、上手くデザインされているのだ。 また、「カード情報を入力するときにヘンだと気付かなかったのか?」と思うだろうが、「あと30分以内にファイルを送らなければいけない」とか、「1時間以内にPDFを修正しないと間に合わない」といった、切羽詰まった状態になってしまうと、ソフトのダウンロードを最優先してしまい、少しヘンだなと思っても、カード情報を入力してしまうことは十分に考えられる。 なにしろ、途中で、「無料で利用可能」ということが繰り返しアピールされるのだ。「居住国確認のため」という名目でカード情報の入力を求めるサイトもある模様。