補償されないグレーゾーン、気がつかないで…新手のカード詐欺「なりすまし型バナー広告」の意外なワナ
詐欺ではない!? 「なりすましバナー広告」の巧妙な仕組み
さらに、厄介なことがある。「なりすましバナー広告」は、100%詐欺とは言えない、〝グレー〟な手口なのだ。なにしろ、本人の意思でクリックして、カード情報を入力している。表面上は、契約に同意した形となる。 しかも、ここがポイントなのだが、手続きを取れば解約が可能とされている。つまり、詐欺とは一線を画した、あくまで一般的なサイトの体裁をとって運営されているのだ(サイトの中身は動画やゲームのサブスクというパターンが多い)。 そして、しっかりと解約手続きをすると、契約が解除されるケースがほとんどだという。「100%クロ」とは断定できない、巧妙な仕組みになっている。ただし、この解除をするのが難しい。まず、解除を申し込むサポート画面が非常に分かりにくい。次に、サポート画面にたどり着けても、英語でメールを送るように要求される。 しかし、絶対に放置してはいけない。カードを作り直しても請求は続く恐れがあり、放っておくとより面倒になる可能性もあるからだ。カード会社に直接質問をしたが、完全に詐欺とは言えないため、「返金は不可能に近い」とのこと。また、カードの作り直しは必須だという。 ◆解約請求の英文のテンプレートを利用する では、「なりすましバナー広告」にひっかかってしまったときはどうするか? 実は、「国民生活センター越境消費者センター」に具体的な相談事例が掲載されている。 「越境消費者センター」は、海外事業者との取引でトラブルに遭遇した人の相談窓口で、さまざまな相談事例が掲載されている。そのうち、【“無料”をうたうアプリの海外からの課金に関する相談】のケースが、「なりすましバナー広告」に近い。まずはココを参照して、トラブルの概要を把握しよう。 もし、カード情報まで入力をしてしまったら、「越境消費者センター」の【スマートフォンなどの当選をきっかけとした海外有料サイトの登録・課金のトラブル】のページを参照してほしい。 そこには、解約を申し込むときの英文のサンプルが掲載されている(【事業者への解約の申し出文(英語・ひな型)】)。なるべく早く、そのサンプルを利用して、サポートに解約のメールを送り付けよう。 本来なら、実際の〝なりすましバナー画像〟を貼って、分かりやすく注意喚起をしたいところだが、あくまでもグレーゾーンに留まるため、「営業妨害」といったクレームが来ないとも限らないので自主規制したい。 バナーをクリックしただけなら、サイトを閉じてしまえば問題はないので、落ち着いて対処してほしい。くれぐれもカード情報だけは入力しないように。 取材・文:松岡賢治 マネーライター、ファイナンシャルプランナー/証券会社のマーケットアナリストを経て、1996年に独立。ビジネス誌や経済誌を中心に金融、資産運用の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本 』。
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