（ブルームバーグ）： ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻を支援するため、１万人の軍隊を送る準備をしていると述べた。ロシアと北朝鮮両政府の軍事協力が深まっていることを示唆した。

ゼレンスキー氏は訪問中のブリュッセルで、記者団に対し「北朝鮮が私たちと戦うために１万人の兵士を送る準備をしていることを知っている」と述べた。ウクライナ当局は数週間前から、北朝鮮の兵士がウクライナで戦っていると主張しているものの、証拠は示していない。

キャンベル米国務副長官は今週、北朝鮮からロシアへの砲弾やミサイルなどの物資支援が増加している兆候が見られると述べた。兵士派遣の報告についてはまだ精査中という。

ただ、北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）のルッテ事務総長は、ゼレンスキー氏と並んで別の記者会見に出席した際、北朝鮮兵士が戦闘に関与している証拠はないと述べた。

ロシア政府は先週、北朝鮮軍派遣の報道を 「さらなるフェイク」として否定した。

仮に北朝鮮からの軍隊派遣が確認されれば、ロシアとの軍事協力の大きな進展を示すものとなる。プーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は６月、どちらかが攻撃された場合、即座に軍事支援を提供し合うことで合意した。韓国の国防白書によると、北朝鮮は約128万人の現役部隊を維持している。

米韓両政府は、金正恩氏がロシア政府を支援するため、砲弾や弾道ミサイルを送っていると非難しているが、北朝鮮とロシアは否定している。

２年半余り続いているロシアとの戦争でウクライナを支援する上で、欧米各国政府は、国民の支持を維持するのに苦労しており、ゼレンスキー氏には紛争の終局を織り込み始めるよう圧力になっている。

ゼレンスキー氏は16日、キーウで議会に「勝利計画」を提示し、ロシアの侵攻を終わらせるための条件を説明した。この中で、領土獲得に関する譲歩を受け入れることや、紛争が凍結されるようなプロセスに入ることも拒否する姿勢を強めている。