【ランキング】進路選択で悩む高校生 だれに相談してる?「保護者にやめてほしいこと」1位は?
進路の相談相手2位に「父親」が浮上
赤土編集長はこう続けます。 「この調査には進路の相談相手についての質問もあります。コロナ禍の21年調査から『父親』と答える高校生が増え、この年に『友人』を抜いて、初めて2位に浮上しました。1位の母親とは圧倒的に差はありますが、大きな変化です」 今回の調査では、1位母親(81.7%)、2位父親(46.9%)、3位は友人(43.9%)です。05年の調査では1位母親(76.2%)、2位友人(52.8%)、3位父親(38.8%)でした。 1位は「私の考えを尊重する」(32.6%)。次いで「あたたかく見守っている」が2位(29.7%)、僅差で3位の「私の話をちゃんと聞く」(28.9%)となっています。 「つまり、親には進路の相談にはのってほしいけれど、自分の意見は押しつけないでほしいということですね」(赤土編集長) 05年の調査結果を親子の組み合わせで見ると、最も話しているのは母親と娘、最も話をしていないのは父親と息子でした。 では、保護者は子どもの進路相談に対して、どのように応じるべきなのでしょうか。その参考になるのが、調査で高校生に質問している「進路を考える上で保護者にしてほしい行動・態度」の結果です。
保護者の意見を押しつけない
そして「大学受験という進路選択では、保護者の意見を子どもに押しつけないこと」は次の2つの点で重要だと赤土編集長は話します。1つは「保護者の高校時代と現在では、大学の入試方法が大きく異なっている」という点です。 「保護者の時代と違い、『総合型選抜』や『学校推薦型入選抜』などの年内入試を利用した大学入学者が半数以上を占めています。一般選抜でも、同じ大学で複数の受験方式があるなど、入試は複雑化しています。そうしたことをよく知らずに保護者の価値観で進路の話を進めても話がかみ合わず、子どもが困ってしまうことが多いのです」 もう1つは、学習指導要領の改訂により、22年度から高校でスタートした「探究学習」との関わりです。探究学習は変化の激しい社会に対応し、課題解決能力や自己の生き方を考えていくための資質や能力を育成する授業です。小学校、中学校、高校それぞれに授業が設定されています。 「この探究学習では、自分の興味や関心にじっくりと向き合うだけでなく、将来の進路までつなげて考える高校もあります。自ら考えることは子どもの生きる力につながるため、重要です。ここに保護者の意見を押しつけるべきではありません」 進路について話をする場合は、保護者は傾聴の姿勢で応じることが大切です。子どもが「やりたいことや自分に向く学部がわからない」と迷っているときは、子どもに考えさせたり、子どもに回答をゆだねる話し方をしたりすることです。 「保護者向けの講演でよくお話ししているのは、日頃の会話の中で、『子どもの体験と言葉をひも付けてあげること』です。例えば『文化祭、楽しかったよ』という子どもに、『何が楽しかったの?』と問いかけます。こう問われることで子どもは、『みんなと一緒にイベントをやることが楽しかった』『看板制作で絵を描くのが楽しかった』など、具体的な言葉にすることができます。その言葉が、子ども自身が好きなこと、得意なことに気づくきっかけになります。そうした興味・関心の解像度が上がってくると、進路選択がしやすくなります」 親が子どもを思う気持ちは必ず伝わるものです。調査結果を参考に、子どもの考えを尊重し、子どもを信じて、保護者だからこそできるサポートをしてあげましょう。
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