都知事選、投票率激減でも有権者を責められない理由 「法律に触れなければOK」の世界は政治の劣化を象徴、経済界に大きな責任
【ニュースの核心】 東京都知事選が20日告示され、七夕(7月7日)の投開票日に向けて舌戦が始まった。現職の小池百合子知事(71)や、立憲民主党や共産党の全力支援を受ける蓮舫前参院議員(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、元航空自衛隊幕僚長の田母神俊雄氏(75)ら過去最多56人が立候補した。ポスターの掲示板をめぐるトラブルも発生した。ネット上では「カオス」「地獄(究極)の選択」と評する声もある。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、今回の首都決戦を「日本政治の劣化を象徴する」「その責任は、政治家と官僚、マスコミ、大企業にある」などと喝破した。日本政治は膿を出し切って、復活することができるのか。 【写真】「女性の全裸選挙ポスター」をはがす候補者(一部画像処理をしています) 都知事選が告示された。現職の小池氏に、蓮舫氏、石丸氏、田母神氏らが対抗する構図だ。 停滞した国政を前に、せめて都知事選に「突破口」を期待したいところだが、そんな願いはかないそうもない。 「学歴問題」がくすぶり続けている小池氏は、公約発表の記者会見をオンラインにして、わずか5人の記者の質問に答えただけだった。「保育料無償化」や「返済不要の大学奨学金」などバラマキ政策を並べて、つくり笑顔を振りまいた。 対抗馬の本命とみられる蓮舫氏も、「二重国籍」問題がぶり返しているうえ、早くも選挙の事前運動が指摘されている。公約では、「明治神宮外苑の再開発を見直す」と明言した。小池氏の介入で、豊洲への移転が大幅に遅れた築地市場の悪夢が繰り返されないか、と心配になる。 それだけではない。 衆院東京15区補選で前代未聞の選挙妨害を繰り返して逮捕された政治団体の代表は、獄中から立候補した。寄付と引き換えに、選挙のポスター掲示板を自由に使わせる政党も登場した。 いかに日本の政治が「劣化」してしまったか、を象徴する事態である。 ■有権者を責められない 本来なら、「それでも投票は棄権するな」と呼びかけるのが物書きの作法かもしれない。だが、ここまでくると、私は投票率が劇的に下がったとしても、有権者を批判する気持ちにはなれない。 ■政官業マスコミに大きな責任