【公演レポート】平間壮一・廣瀬友祐・福山康平が“芸術の中に生きる”、ミュージカル「ワイルド・グレイ」開幕
ミュージカル「ワイルド・グレイ」が本日1月8日に東京・新国立劇場 小劇場で開幕。これに先駆け同日、ゲネプロが行われた。 【画像】ミュージカル「ワイルド・グレイ」平間壮一、廣瀬友祐、福山康平が出演したゲネプロの様子。(他21件) 「ワイルド・グレイ」は、イ・ジヒョンの脚本、イ・ボムジェの音楽で2021年に韓国で初演され、昨年再演されたミュージカル。日本初の上演となる今回は、根本宗子が演出・上演台本を担う。劇中では、現実世界では望むことができない自由を芸術に求めるオスカー・ワイルド(立石俊樹、廣瀬友祐)、その友人で支持者のロバート・ロス(福士誠治、平間壮一)、ドリアン・グレイにそっくりな青年アルフレッド・ダグラス、通称ボジー(東島京、福山康平)の物語が紡がれる。公演は2チーム制となり、本日のゲネプロには平間、廣瀬、福山が出演した。 劇場に入ると、ステージにはスモークが立ち込めており、観客を19世紀末の霧深いロンドンの街へといざなう。舞台の上手と下手にはそれぞれレンガの壁がそびえ立ち、中央後方はミュージシャンたちの演奏スペースとなっていた。演奏者たちがピアノ、チェロ、バイオリンを奏で始めると、ステージには平間演じるロバートが静かに登場。ロバートの歌と共に壁がゆっくりと回転し始め、やがて舞台上手にボジーの部屋、下手にワイルドの部屋が姿を現した。 本作では3人の出演者の演技と、ピアノ、チェロ、バイオリンの生演奏で物語が紡がれる。劇中には、ワイルドが書いた「ドリアン・グレイの肖像」や「サロメ」といった作品が引用され、ワイルドとボジーは、2人の関係の行く末を心配するロバートをよそに、自分たちを物語の登場人物になぞらえながら関係を深めていく。2人が「ドリアン・グレイの肖像」の肖像画を連想させる額縁の中で絡み合ったり、官能的なタンゴを披露したりするシーンでは、その濃密でスリリングなやり取りで観客を惹き付けた。 平間は、ワイルドに心惹かれ、どこまでも寄り添おうとするロスを真っすぐな歌声で演じる。ロスがワイルドを守ろうとボジーと対立するシーンでは、射抜くようなまなざしに意志の強さをのぞかせた。廣瀬は歌うような独特の語り口や、時折見せるとぼけた表情で、チャーミングなワイルド像を立ち上げる一方、豊かな歌声を響かせ、ワイルドのボジーへの愛を表現。また福山は目を潤ませて、ワイルドにすがるボジーの情緒不安定さを表しつつ、2人が幸せなひと時を過ごす場面では柔らかい笑顔を浮かべた。 このたびキャストからコメントが到着。平間は「自分自身がこの作品を、作り出したわけではないですが、その一部になれたので、オスカー・ワイルドが作品に込めた愛のように『ワイルド・グレイ』と言う作品を愛して芸術の中にとことん生きられるよう頑張ります」、廣瀬は「ぜひ2025年の観劇初めに、『ワイルド・グレイ』をお楽しみいただけたら幸いです」、福山は「芸術を愛し、救いを求め、翻弄された男たちの物語、是非見届けてください」と述べる。 また福士は「今とは違う時代を生きた人達が、時代や社会にそして人間に翻弄され、苦しみながらも自分の生き様に美しさを求めていくこの舞台を、是非楽しんでいただけると幸いです」、立石は「役者3人だけのミュージカルだからこそ生まれる、濃密で深みのあるお芝居と心を震わせるミュージカルナンバーをぜひ劇場で堪能していただけたら嬉しいです」、東島は「多くの方はアルフレッド・ダグラスに感情移入できないかもしれませんが、図々しいくらい彼を愛してきたので彼なりの言い分を代わりに届けられるよう全身全霊でつとめてまいります」と語る。さらに演出・上演台本の根本は「日本版『ワイルド・グレイ』どうぞご期待ください。劇場でお待ちしております。是非、見届けて欲しい」と観客にメッセージを送っている。なおこのたび福士、立石、東島の姿を収めた舞台写真も到着した。 上演時間は約2時間。公演は本日1月8日から26日まで東京・新国立劇場 小劇場、2月8日に愛知・ウインクあいち(愛知県産業労働センター)、14日から16日まで大阪・森ノ宮ピロティホール、22日に群馬・高崎芸術劇場 スタジオシアターで行われる。 ■ 平間壮一コメント あけましておめでとうございます。 新年一発目の舞台「ワイルド・グレイ」。 自分自身がこの作品を、作り出したわけではないですが、その一部になれたので、オスカー・ワイルドが作品に込めた愛のように「ワイルド・グレイ」と言う作品を愛して芸術の中にとことん生きられるよう頑張ります。 美と愛はいろんな形がありますよねー ■ 廣瀬友祐コメント 無事に初日を迎えることができ、大変嬉しく思います。同時に、これから千穐楽までの間、誰一人欠けることなく、両チームが無事に乗り切れることを心から願っています。 出演者が3人という環境は、俳優にとって非常に贅沢で幸せな空間です。この特別な環境の中で、素晴らしいキャストと、ピアノ・バイオリン・チェロを奏でるミュージシャンの皆さんと共に舞台に立てることに大きな喜びを感じています。 この贅沢な舞台から、僕らにしか届けられない作品をお届けできればと思っています。また、出演者が変わることで、こんなにもチームの色が異なるのか!と感じていただけるはずです。 ぜひ2025年の観劇初めに、「ワイルド・グレイ」をお楽しみいただけたら幸いです。 ■ 福山康平コメント 遂に初日。ドキドキです。今までこんなにも稽古期間を短く感じたことはなかったと思います。怒涛の日々でした。自分が演じるアルフレッド・ダグラス、ボジーという役との間にはまだまだ近づく余地が沢山あるはず。毎公演少しでも彼を愛せるように、そして僕自身も成長できるように、廣瀬さん、平間さん、カンパニーの皆さんと共に大千穐楽まで走り抜けたいと思います! 芸術を愛し、救いを求め、翻弄された男たちの物語、是非見届けてください。 ■ 福士誠治コメント ワイルド・グレイという作品に携われること、本当に光栄です。 偉大な小説家であるオスカー・ワイルドに惹かれるロバート・ロスという役を演じることは、楽しくもあり、切ない気持ちにもなります。 今とは違う時代を生きた人達が、時代や社会にそして人間に翻弄され、苦しみながらも自分の生き様に美しさを求めていくこの舞台を、是非楽しんでいただけると幸いです。 ピアノ、バイオリン、チェロの奏でる旋律も素敵なので、音楽に芝居にあふれた空間をお楽しみください。 ■ 立石俊樹コメント 芸術、愛を求め続けた3人の男たちの物語です。 オスカー・ワイルドという人物の魅力を知り、劇を通して彼自身の想像もし得なかった苦労や喜びを追体験させていただいています。 ピアノ・バイオリン・チェロのみで紡がれる音楽は、とても美しく素敵な空間を演出してくれます。 そして、役者3人だけのミュージカルだからこそ生まれる、濃密で深みのあるお芝居と心を震わせるミュージカルナンバーをぜひ劇場で堪能していただけたら嬉しいです。 皆さまのご来場を、心よりお待ちしております。 ■ 東島京コメント いよいよ劇場に入り、胸に手を当てなくても鼓動の音を感じるのはいつぶりでしょうか。 限られた時間の中で物凄い熱量で役と向き合い理解しようと努力しました。初めて新国立劇場小劇場のステージに立って客席の独特な雰囲気を感じた今、その凝縮したものが次の刹那には破裂しそうな感覚です。 10代最後の作品なので特別な想いもあり、ついにお届けできることに興奮しています。多くの方はアルフレッド・ダグラスに感情移入できないかもしれませんが、図々しいくらい彼を愛してきたので彼なりの言い分を代わりに届けられるよう全身全霊でつとめてまいります。 ■ 根本宗子コメント 「演出は日本のオリジナルにしていいですよ」 そう言っていただけたことが、わたしがこの作品をやろうと決めた大きなきっかけです。 韓国で生まれた本当に素晴らしい戯曲と、楽曲を自分の演出でどこまで日本で届けられるかこのお仕事を受けた日から今日まで考え続けてきました。 その答えの幕がついに開きます。 狙い通り、両チーム信じられないくらい印象が違う作品に仕上がりました。 それは全俳優がそれぞれの味と表現を持っていたから出来たことであり、ただのダブルキャスト公演で終わらせたくないという演出家としてのわたしの欲に全てのスタッフさん方が向き合い付き合ってくださったから叶ったことです。 願わくば、両チームご覧いただきたい思いです。 開幕前夜の今、わたしの心は初日がついに開く期待と、日本初演の演出を担う責任に胸の中は満ち溢れています。 日本版「ワイルド・グレイ」どうぞご期待ください。劇場でお待ちしております。 是非、見届けて欲しい。 ■ ミュージカル「ワイルド・グレイ」 2025年1月8日(水)~26日(日) 東京都 新国立劇場 小劇場 2025年2月8日(土) 愛知県 ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 2025年2月14日(金)~16日(日) 大阪府 森ノ宮ピロティホール 2025年2月22日(土) 群馬県 高崎芸術劇場 スタジオシアター □ スタッフ 脚本:イ・ジヒョン 音楽:イ・ボムジェ 翻訳:石川樹里 訳詞:保科由里子 演出・上演台本:根本宗子 □ 出演 ロバート・ロス:福士誠治 / 平間壮一 オスカー・ワイルド:立石俊樹 / 廣瀬友祐 アルフレッド・ダグラス:東島京 / 福山康平 ※後藤大はのどの疲労により稽古に参加できず降板。代役を東島京が務めます。