“ヤングケアラー”を支援する改正法が成立 現状は自治体により支援に格差 改正法でバラつき解消となるか
■取り組みするも「支援を拒否する家庭が多い」 「なるべくハードルの低いサービスから支援を」と専門家
親への支援に取り組んでいる自治体もある。 全国で最初に”ヤングケアラー”の相談窓口を設置した神戸市。 神戸市相談支援課 上田智也課長:こちらの方で電話相談を受けています。多くは関係機関からの相談ですので、当事者や家族からの相談は2割以下。 神戸市では事業を始めてから3年間で404件の相談があり、そのうち196人のヤングケアラーを継続的に支援してきた。 2年前からは、全国で初めてケアの負担を軽減しようと、ホームヘルパーを自宅に派遣する事業も始めたが、利用は11件と伸び悩んでいるのが現状。 神戸市相談支援課 上田智也課長:支援を拒否している家庭が多い。自分たちのことだから、行政には関わってほしくないと拒否をしてしまうので、子供たちがしんどい思いをしてても、親が否定をしちゃうと、なかなか支援につながらないというのがある。 学校、地域、支援団体など、まわりにいる大人を、いかに巻き込んでいくかが大事だと専門家は話す。 NPO法人ふうせんの会代表理事 大阪公立大学教授 濱島淑恵さん:自分の家に他人をあげるというのは、大人も子供も当然ハードルが高いわけですし、兵庫県の場合だとお弁当の宅配を始めてますけど、人が中に入ってくるわけではない、なるべくハードルの低いサービスから始めて、そこで相談窓口とヤングケアラーとご家庭がつながり、信頼関係が築かれていくと、家に入ってくるようなサービスも受け入れやすくなってくると思います。 本人が声をあげにくい「ヤングケアラー」。 周りの大人たちが気づき、信頼関係を構築しながら、少しずつでも支援を進めていくことが必要だ。
■自分で気が付くのが難しい「ヤングケアラー」 周りの大人たちが気づき声をかけてあげることが効果的
自治体支援のどのような部分が課題なのだろうか。 関西テレビ 神崎博報道デスク:ヤングケアラーという言葉を最近よく耳にするようになりました。今回の法改正によって、ヤングケアラーという人たちがちゃんと支援すべき対象です、と法的に明記されたことで今まで地域によって支援の格差がありましたが、自治体もその支援に向けて前に進むと思います。一方で、法律で『介護や世話を“過度に”担っている子供、若者に定義される』としていて、“過度に”というところに引っかかります。『自分は過度ではないのでは…』と思ってしまうと、なかなか相談につながりにくくなると思います。ですので、周りにいる大人、例えば学校の先生とか、近所の人が気付くとか、あとはヤングケアラーだと思っている人が、気軽に相談できる窓口や支援が必要になってくると思います。 ジャーナリストの浜田敬子さんはヤングケアラーへの支援のあり方について、このように話す。 ジャーナリスト 浜田敬子さん:どうしても日本は、今でも子育ても介護も家族がするものっていう考え方が、非常に根深いんです。だから子供ですら、自分がやらなきゃいけない、お母さんを助けなきゃいけないと思ってしまうんですね。『そうじゃないよ』って誰かが言ってあげる必要があると思います。最初やっぱり、自治体は実態調査が必要だと思います。まず自分の自治体に、どのぐらいヤングケアラーと言われる状態のお子さんがいるのか、そうしないと支援の体制が組めませんよね。なのできちんと調査をするということ、そして支援の体制を整える。これは相談窓口だけじゃなくて、実際はNPOとかNGOの団体に助成をして、やってもらう形が多いので、そういう団体が自分たちの自治体にあるかどうか、ない場合は他でやっているところに来てもらうというのも必要だと思います。さらに、お子さんが声を上げにくい時に、一番気づきやすいのはやっぱり学校の先生だと思います。私がよく取材している経済的困窮の状態のお子さんも、学校の先生がこういう居場所があるからとか、学習支援の組織があるから行ってみたらと声をかけてあげています。そこでそういう場所を知ってから行くという。行政と学校も連携して、学校の先生に勧めてもらうようにしてたりするので、小学校、中学校だと家庭訪問をしているケースも多いので、先生が声をかけてあげるのはすごく効果的かなと思います。 今回の法改正により、周りの大人たちの理解が進むことが、まずは支援の第一歩だと思う。 (関西テレビ「newsランナー」2024年6月7日放送)
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