今年は“異常な梅雨”に!?例年以上に警戒を 「雨量は7月上旬がピーク」「日本で異常気象が生まれやすいワケ」気象予報士が解説
今年は「異常な梅雨」になりそう…海水温の上昇で大雨に
広瀬駿さん:そして今年は異常な梅雨になりそうです。その理由は「海」にあります。6月6日の日本周辺の「海面水温の平年差」を表した図をみてみます。赤色が濃いところほど平年より水温が高く、青色が濃いところほど平年より低くなっていますが、日本周辺はほとんどの場所で高くなっていることが分かります。 これは、去年の猛暑などで温まった海水が記録的な暖冬で冷め切らなかったという「異常気象の連鎖」、また、黒潮の大蛇行、黒潮の振る舞いの異常というのも関係しています。関東・東北沖にどんどん黒潮が入って、一気に海水温が高くなっているということです。海水温が高いとそれだけ水蒸気の供給量は多くなるので、雲が発達して大雨になりやすい、そういった環境になっています。
食卓にも影響…宮城でマダイの水揚げが30倍!?
広瀬駿さん:天気への影響だけではありません。食卓にも異変が起きています。ある魚が本来取れる場所でとれていない、逆に本来とれなかった場所でとれている、そういった現象が起きています。北海道の函館ではスルメイカが不漁で、青森ではサバが不漁。一方、北海道でとれていなかったブリが大漁で、宮城ではマダイが去年の30倍の水揚げ、福島では伊勢エビがたくさんとれているということです。
もともと異常気象の起きやすい日本 地球温暖化の影響は“アナザーワールド”に
広瀬駿さん:実は、日本周辺というのは世界的に見ても異常気象が生まれやすい環境にあります。赤道付近は海水温が高く、最も高いのが日本の南にあるフィリピン近海。一方、冬には「冬将軍」がやってきます。シベリアの寒気の中心は、日本からそれほど離れていない北のエリアにあります。そのため、南の異常だとか北の異常というのが地理的に見てもすぐ伝わりやすい。日本は四季が明瞭で四季折々のものを楽しめる一方で、南北の異常気象の影響が出やすくなっています。 また、気象の研究者である三重大学大学院・立花義裕教授は、地球温暖化の影響の見え方が去年あたりから「“アナザーワールド”に突入している」という見解を示しています。今までは温暖化の影響というのを海が吸収してくれていたと考えられるのですが、今は海が我慢できなくなり、海水温が跳ね上がっているのではないか、より気象に影響が出やすい状況になっているのではないかと警告しています。さらに、日本の四季が、これからは「二季」になるのではないかと立花教授は指摘しています。冬に雪が降らなくなってしまうと「渇水被害」ということも心配されます。
広瀬駿さん:最後に、梅雨の「恩恵」について見ていきます。まず、梅雨の雨のおかげで海が豊かになります。雨が降ると陸から雨水が海に流れていき、その水の中に栄養がたくさん含まれているのでプランクトンが大量に発生し、それを餌にする魚が恩恵を受けます。適度に降る雨は“恵み”となっています。恩恵もある一方、降りすぎは心配になります。今年も大雨の梅雨になりそうな予感がしますので、梅雨入り前の備えをよろしくお願いします。 (2024年6月7日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)