15分で500km分を充電 中国、高性能LFPバッテリー発表 早くも市販車搭載
超急速充電可能なLFPバッテリー
中国の自動車メーカーであるジーカー(Zeekr)は、EV向けの新しいLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを発表した。同社初の自社開発バッテリーで、最大500kWの充電に対応する。 【写真】躍進する中国ブランド、ジーカーの最新EVモデルは?【ジーカーが中国で販売するX、007を写真で見る】 (41枚) 「ゴールデン・バッテリー」と名付けられたこのバッテリーは、超急速充電が可能な世界初の量産型800V LFPバッテリーとされている。ジーカーの新型電動セダン、007に搭載される予定だ。 ジーカーは、ボルボ、ロータス、ポールスター、スマート、ジオメトリー、プロトンなどを所有する中国の浙江吉利控股集団(ジーリー・ホールディング)が2021年に立ち上げた高級EVブランドで、2023年には欧州市場への進出を発表した。 今回発表されたゴールデン・バッテリーは、吉利傘下の他のブランドでも使用される可能性がある。15分で10~80%まで充電できるとされ、ジーカーの新型007の場合、これは最大500km分の航続距離に相当する。 ジーカーは、各セルモジュール間に薄いセパレーターを配置した「サンドイッチ構造」と一体型トレイ設計を採用したことで、体積利用率において新たな基準を打ち立てたとしている。その体積利用率は83.7%で、中国の大手メーカーCATLのNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)バッテリーの72.0%を上回る。 また、高い安全性を有しており、セルの耐火性が高く、極端な圧力がかかっても爆発しないという。テストでは、700度の高温に240秒間さらし続けても発火せず、爆発もしなかった。ジーカーは、これは中国の国家基準である130秒を大幅に上回るとしている。 ジーカーと吉利は、バッテリー製造コストの低減と外部サプライヤーへの依存度を下げる施策を進めており、ゴールデン・バッテリーの自社開発もその一環である。ゴールデン・バッテリーは浙江省にある吉利のバッテリー工場で生産される。 中国で販売されるジーカーの001と009、Xの各モデルにはCATL製バッテリーが使用されている。これに比べ、ゴールデン・バッテリーは最大14.8%の製造コスト削減を見込めるという。 このゴールデン・バッテリーを搭載する新型007は12月27日に中国で発売され、1月1日から納車が開始される予定である。
グレッグ・ケーブル(執筆) 林汰久也(翻訳)