「売家」看板外し電気・ガス・水道を契約《空き家》に住み着いた25歳の男 犯行現場を2970万円で買ったのは…法廷で明らかになった家族の苦悩
男は「邸宅侵入」の罪についても「間違いありません」と起訴内容を認めた。 ■「空き家」を買い取ったのは 第2回公判当時保釈され、両親とともに関東で暮らしていた男。この公判の中で、検察官は初めて、男が軽度の知的障がいを抱えていることを明らかにした。以下は証人に立った被告の父親の証言だ。 【被告父親の証人尋問】 弁護士: 「諫早の空き家に侵入して1泊、大村の空き家で約1か月暮らした被告の行為について、どう思いましたか」 父親: 「初めて聞いた時は信じられなかった。被害者に心配と迷惑をかけた。親としての責任も非常に大きい」 弁護士: 「大村の空き家の管理者との示談はどうなっていますか」 父親: 「妻とともに直接管理会社へ謝罪した。被告が保釈されてから再度3人で謝罪へ。不審者が侵入した事実で『家の価値が下がった』と言われ、事件前の売値で買い取った」 弁護士: 「諫早の空き家の持ち主の女性との示談は」 父親: 「カギの被害など弁償したいと考え、警察などにも協力してもらっているが『連絡しないでほしい』と断られ、進んでいない」 弁護士: 「親として被告を監督する予定は」 父親: 「していくつもり。まずは職に就くため、障がい者就労支援センターなどに行かせる。今後は自分の方が先に死ぬだろうから、第3者による監督にも頼らないといけない。その中で本人の自立の道を探っていく。仕事をしながら償いを終わらせてほしい。保釈後の現在、アルバイトを始めて1か月ほど経った」 ■車や家電…欲望を抑えられない息子 弁護士: 「長崎での一人暮らしの様子は」 父親: 「引っ越し後、高額の車や家電を大量に購入し、クレジットカードで返済能力を超えた買い物をしていた。被告の根本にあるのは『欲望が抑えられない』ことだと思う」 検察官: 「被告が一人暮らしを始めた経緯は」 父親: 「特別支援学校を出て企業へ就職。途中で正社員登用もされ、約6年半勤めていた。しかし、2023年8月ごろ『家を離れ、自立したい』と言い出した。親としては勤続してほしかったが被告から『業務内容がつまらない。友達もできない』と相談され、このままの状況で本人のためになるのか、と思い始めた」