ACLEでボランチコンビの個性際立たせた横浜FM新戦法…渡辺皓太「一つのオプションができた」山根陸「ゼロで抑えられたのが大きい」
[10.2 ACLEリーグステージ第2節 横浜FM 4-0 蔚山HD 日産ス] 直近7試合で23失点と守備面の課題が露呈していた横浜F・マリノスはこの日、ミドルゾーンにコンパクトな守備ブロックを構築する新たなスタイルでKリーグ王者を迎え撃ち、カウンターによる4ゴールで4-0の完勝を収めた。無失点は公式戦8試合ぶり。その要因にはゴール前で高い集中力を見せ続けた最終ラインもさることながら、MF山根陸とMF渡辺皓太が組んだダブルボランチのゲームコントロールも大きく貢献していた。 【写真】「金髪美少女」「一段と可愛く…」「アカンやつ」元なでしこ岩渕真奈さんのモデル姿に称賛殺到 試合後、ボランチの一角でフル出場した山根は、この日の戦術に一定の手応えを口にした。「ゼロで抑えられたのがすごく大きいし、プレスの行き方だったり、高さ、深さをチームとして意識していた。今日に関してはまだ修正はあるけど、プレスの行き方だったりブロックの作り方は一発目にしてはコミュニケーションを取ってできたほうかなと思う」 守備の鍵になったのは「守備ブロックを組む」という意識ではなく、「プレスをかける高さ」だったという。 「(意識していたのは)ブロックというよりはプレスをかける高さ。構えてしっかり行くところは全員で行くし、真ん中の選手として常にバラバラにならないようにオーガナイズしながら、いつ行くかのコミュニケーションを取らないといけないし、行くとなったら全員でコンパクトに行かないといけないので」 そうした守り方は現在の横浜FMの戦力にも適しているように思われる。 失点が続いた時期の横浜FMは中盤でオープンな攻防を強いられる中、ボランチの選手がボールや相手に振り回される場面が続発。機動力やパワーを持ち味とする“潰し屋タイプ”なら対応しやすいかもしれないが、現在のボランチ陣はMF喜田拓也も含めて周りとつながりながら良さを出していくタイプとあり、幅広いエリアに晒される守備対応に苦慮していたからだ。 そうした変化について山根自身は「前から行く中で一人一人の守るスペースが大きいと、どうしても揺さぶられた時にボールから遠くなったり、ちょっと緩くなってしまったりする」と述べつつも、「そういう中でも距離を詰められる選手が良い選手だと思う」とも口にし、幅広いプレーエリアにも目を背けるつもりはない。もっとも、エリアを限定することで効果的な働きができるのであれば、おもむろに広いエリアをカバーするよりも勝つためには有効だ。 実際、この日の山根は自身の守備位置から良い間合いで相手にアプローチし、ボールを狩り取ったり、奪うには至らなくとも相手をゴールから遠ざける場面が増加。またコンパクトな布陣の中でボールを扱うセンスはもともとの強みでもあるため、攻撃へのトランジションもよりスムーズにこなしていた。 山根は「相手は球際とか局面の強さがあるので、自分たちが負けてしまうとひっくり返ってしまう。(布陣が)コンパクトだったのでそういうシーンが増えたのかなと思う」と自身の球際でのパフォーマンスを前向きに振り返りつつ、「ファウルでも良いから行くのは今の自分には大事。そこで距離を掴んで、寄せるスピード感とか距離の感覚をもっと覚えていきたい」と成長の糸口を感じ取っていた。 また山根とコンビを組んでフル出場した渡辺も、この日の戦術に手応えを感じていたようだ。 「今までやってきたハイプレスだけじゃなく、ミドルブロックでチームとして狙いを定めて行くところと行かないところをうまく使い分けられた。最近の課題を少し修正できて、一つのオプションができた」 今後への継続は「相手にもよるし、前線の選手の特徴にもよる」と留保したが、「今日に関してはああいったミドルブロックで差し込まれたところを狙ったり、前線の選手が守備のスイッチのメリハリをうまくやってくれたのでチームとしてうまくいった」と収穫を口にした。 そんな渡辺は前半4分、果敢な攻撃参加からFWエウベルの折り返しに飛び込み、先制ゴールも記録。4-0というゴールラッシュの口火を切る大きな役割も果たしていた。 「あれが今日の守備だったからかはわからないけど、いいタイミングで関われて良かった」。そう振り返った背番号6は「今まではハイプレスをして、中途半端に行ってしまって蹴られて戻れず、セカンドボールを拾えずという繰り返しだったので、そういった消耗も少なかったし、より攻撃に出ていく力もあった」と手応えを述べ、「最近は攻撃が単調だったし、奪われた後の距離も遠く、2次攻撃、3次攻撃ができずというシーンが多かった。後ろのサポートだけじゃなく、もう一つ前に出て関わることで奪われた後の一つ目の守備も近い距離で行けるし、いい方向に行っていると思う」と前向きな展望を口にした。 何より無失点勝利という結果が出たのが大きな価値だ。渡辺は「ゴールも大事だけどチームとしての勝利が大事だった」と自身のゴールには控えめな喜びを見せつつも、「今日に関しては結果が全てだったし、勝つしかなかった。結果が出てよかった」と勝利にホッとした様子。「内容も今後のプラスになる場面もあったので、これを次の試合、Jリーグでも続けられるように、今日で終わらないように、これから修正しながら勝ちを重ねていければ」と継続的なパフォーマンスを誓っていた。