「ついに来たか」まさかの退職代行”される側”になった「退職代行モームリ」社長の「意外な本音」
「ついに来たか」
ーー退職代行を利用されたと知った時、率直にどのような気持ちが生まれましたか? 本当に驚いたし、ついに来たかという感じでした。ある程度、覚悟はしていたんです。ウチの会社が退職代行業者である以上、従業員は100%退職代行について理解があるわけで、いつかは使う人が出てくるだろうなって。なので、その時にウチの会社に非があると言われないよう、経営者として努力しなきゃなって。今回の退職理由はセクハラやパワハラなど、企業側に原因があるものではなかったので、そこはちょっとホッとしてます。 ーー過去にマネー現代で取材した際、谷本社長は「もし従業員が退職代行を使って会社を辞めても、引き留めはしない」と仰ってました。今回実際に使われてみて、考え方などに変化はありましたか? 去る者は追わずの精神は変わってません。今回の退職理由に関しても、職場でのスレ違いが原因の退職は、どうしても起きてしまうものであり、「仕方がないかな」と割り切ってる部分もあります。 もちろん今回の件をキッカケに、自分の気持ちを発信するのが苦手な社員に対しての接し方。ここは企業として考えていかなければいけません。今以上にアンテナを張って、従業員と面談する回数を増やしたり……。 それとこれはどこの会社でも同じかもしれませんが、社員とアルバイトの間で「会社への帰属意識」にちょっと差を感じてるので、ここも改善していきたいです。やっぱり辞められると悲しいですし、みんなには長く楽しく働いてもらいたいので。 ーー今後の採用において、「過去に退職代行を使った社員は雇わない」などの対策は考えていますか? まったく考えていません。今ウチの会社には、過去に退職代行を使ったことのある社員が何人も在籍してて、みんな頑張って働いてくれてます。 よくメディアなどでは「退職代行を使う社員はダメな奴だ」みたいな風潮がありますけど、全然そんなことないですよ。採用に携わった方なら経験があると思いますが、この人は大丈夫かなと思いながら採用した社員が、めちゃくちゃ仕事できるパターンってあるじゃないですか。特にウチの会社の場合、依頼者の苦しい気持ちがわかっている社員のほうがありがたいですね。 * * * 今回の一件について本音で答えてくれた谷本社長。Xでの投稿がサービスに与えた影響や今後の事業展開などについて、引き続き後編記事〈私たちは「企業の敵」ではない…まさかの退職代行“される側”になった「退職代行モームリ」社長が始める「驚きのサービス」〉で谷本氏に話を聞いていく。
佐藤 大輝(ライター)