DeNA・三浦監督、成り上がりの日本一 1998年の権藤監督の采配を令和番に進化、データ重視で構築「中継ぎローテ」が原動力【日本S第6戦】
◇3日 SMBC日本シリーズ第6戦 DeNA11―2ソフトバンク(横浜スタジアム) ◆筒香、お立ち台で絶叫&劇弾にのけぞる牧【写真複数】 プロ野球のSMBC日本シリーズ2024は3日、横浜スタジアムで第6戦が行われ、セ・リーグ3位からクライマックスシリーズ(CS)を突破したDeNAが、パ・リーグ王者のソフトバンクを11―2で下し、対戦成績4勝2敗で26年ぶり3度目の日本一に輝いた。前回制覇は前身の横浜時代の1998年で、当時投手だった三浦大輔監督(50)の下、2連敗から4連勝で下克上を完遂。シーズン3位からの日本一は、2010年にパ3位から頂点に立ったロッテに次いで2球団目で、セでは初。 番長がリーグ3位から日本一へと成り上がった。両手両脚を伸ばしナインの突き上げる腕の上で5度宙に舞う。赤くなった目をふき、笑った。 「1998年に優勝してからなかなかできなかった。監督として優勝できてうれしい。最高の気持ちです。最高のファンの前で優勝できて本当にうれしいです」。勝利監督インタビューでは上ずった声で答えた。 就任4年目、苦難の道だった。昨季のエース今永はカブスへ移籍。バウアーも退団した先発陣の穴が埋まらず、7月下旬には9連敗。だが、指揮官は焦らなかった。筒香やオースティンら主力が故障をすると「頑張ってほしいのは秋。そのために無理をさせない」と2軍に落とした。ベストメンバーで戦う秋が勝負、とのもくろみはポストシーズンで爆発した。 常にデータを重視してきた。選手の相性を重んじる球団の姿勢に共鳴。シーズン中は、若いコーチ陣の進言にも耳を傾けた。そうして構築した「中継ぎローテ」は日本一の原動力になった。カード別にセットアッパーやロングリリーフを変える方法で、1998年にベイスターズを日本一に導いた権藤博監督の采配を令和版に進化させた。「うちの救援投手の選手の能力は平均して高い」と信じたことに始まる。 ドラフト下位、他球団を自由契約になった選手…。入団時に輝かしい経歴でない選手にも光を当てた。自身がドラフト6位ということと無縁ではない。他球団を経験したコーチは「下位の人にチャンスを与えるのがこの球団」と驚くほどだ。はい上がる人間の力に懸けていた。 ロックンローラーの矢沢永吉を愛し、自分を投影する。セ・リーグ3位からの頂点で、矢沢の著書「成りあがり」を体現した。来季は5年目。ハマの番長のクールで熱い戦いは続く。
中日スポーツ