メジャーリーグ インドから入団できる?/ 映画『ミリオンダラー・アーム』インタビュー
そもそも、インドでメジャーリーガー候補生を探すきっかけは、インドがクリケット大国だったから。ピッチャーがボールを投げ、バッターがそのボールを打つなど、野球と共通しているところがあり、その球速は150キロにもなるという。では、本当にクリケット選手が野球に通じるか、というと、バーンスタイン氏には勝算があったという。「クリケットと野球は想像以上に共通していて、マウンドからの距離も野球とほぼ同じ。ボールの重さ、大きさもほぼ同じ。そういった意味でクリケットと野球は近いものがあった。インドでは浸透しているスポーツ。クリケットをやっていれば、野球の投手をやることは、慣れていると思った」と、説明する。映画で描かれた2人(リンク、デニッシュ)は、クリケット選手ではなかったが、コンテストに参加した3位以下の選手は全員、クリケット選手だったという。「1回目のコンテストでは、3万8000人が参加したが、合格した2人以外はクリケットの選手。リンクとデニッシュがたまたま槍投げと陸上競技の選手で、クリケットを好きではなかっただけ。実は、3位になった選手はクリケット選手で、渡米できるよう調整したがパスポートの都合でアメリカには来ることができなかったけど、クリケット選手には才能ある選手も多い」と目論みどおりだった。 現在もスポーツエージェントとして活躍しているバーンスタイン氏。インドから未知の投手を発掘する仕事から、超大物スポーツ選手のサポートまで幅広く、活動している。エージェントの魅力については「本当にスポーツが大好きで、スポーツの世界の一部になれるのは、良かったと思える。私はこれまで幸運にも、歴史的瞬間に立ち会うことができた。バリー・ボンズの本塁打記録とか、NFLのエミット・スミスのラン記録とか。誇らしいと思っている。もちろん、インドの2人と出会えたことも素晴らしいことだと思っている。この仕事は愛すべき仕事だ」とバーンスタイン氏は、笑顔で答えた。 ■J.B.バーンスタイン(J.B.Bernstein) 1968年生まれ。マサチューセッツ大学アマースト校を卒業。広告会社などの勤務を経て独立。バリー・ボンズ、バリー・サンダース、エミット・スミスなど一流スポーツ選手のマーケティングを担当するエージェントとして活躍している。『ミリオンダラー・アーム』はNYタイムズ紙でベストセラーリストに入り、映画化された。現在は家族とともにラスベガスに在住。