メジャーリーグ インドから入団できる?/ 映画『ミリオンダラー・アーム』インタビュー
1995年に野茂英雄が、メジャーリーグを席巻して以来、アジアをはじめ、さまざまな国からアメリカを目指し、多くのプレーヤーが成功をおさめている。そんな中、“未開の地”となっているのが12億人以上の人口を誇るインドだ。映画『ミリオンダラー・アーム』では、スポーツエージェントのJ.B.バーンスタイン氏が、インドへ『ミリオンダラー・アーム』(1億円の投手)を発掘に行くというストーリーだが、これは実話に基づいて描かれている。インドの若者が持つ野球の潜在能力、成功の可能性について、当の本人、J.B.バーンスタイン氏に話を聞いたーー。
12億人以上の人口を抱えるインド。それだけの母数があれば、逸材の1人や2人は発掘できるのでは、と想像する一方で、野球自体が文化として根付いていないだけに、課題も多いと言える。バーンスタイン氏は「ビジネスにはリスクがあって当然。インドで才能ある選手を見つける、ということ事態、リスクはあった」と、徒労に終わる可能性を踏まえた上で「リスクの反面、チャンスもあると思っていた。アメリカでは『速球を投げる選手を見つけてくれば、後はなんとかする』と、よく冗談で言っててる。アメリカにはその選手を育成する土台がある。なので、プロ契約させる自信はあった」と、当時を振り返る。 とはいえ、現代の野球は複雑なルール、データ重視など、非常に高度なテクニックなどが必要とされ、メジャーリーグともなれば、一般人の想像できないような駆け引きが存在している。バーンスタイン氏は、そのハードルの高さを認識した上で、映画で描かれたインド人青年たちだったからこそ、成功できたと力説する。「(インド青年の)リンクとディネシュの2人は、2008年5月に渡米し、パイレーツとその年の11月に契約を結んでいる。たった6ヵ月だった。さらにリンクは、翌シーズンの2009年7月13日にマイナーリーグで初勝利をあげている。マイナーとはいえ、たった1年。本当に異例の選手だった。どう考えても、野球を覚えるのに時間が足らなくて大変だったけど、彼らは努力してくれた。本当に努力をしていた。やる気、熱意、夢、才能、努力、全部が揃ってこそ、花を咲かせてくれたと思う」と、彼らの人並みはずれた努力、そしてひたむきな人間性によって“奇跡”を起こすことができたという。