野村克也が語る「ドラフト」
ドラフトの行方はやはり気になるが…
ヤクルト新入団選手発表会見時の古田/写真=BBM
前号で少しドラフトの話を書くつもりだったが、金田正一さんの訃報で、すっかりどこかへ飛んでいってしまった。 今号の締め切りはドラフト前で、発売はドラフト後になる。話題の佐々木朗希(大船渡高)、奥川恭伸(星稜高)、森下暢仁(明大)らはどの球団に指名され、どんな表情を浮かべているか。 私が監督時代、とにかくスカウトに求めたのは「球が速い、遠くへ飛ばす、足が速い」──天性の能力を持った選手の獲得だった。例えばピッチャーなら、150キロ超の速球を持つ選手。こればかりは、もともとその力を持っていない選手がいくら努力しても、身に付けることはできない。しかしコントロールはプロに入って経験を積み、それ相応の努力をすれば良くなっていく。 私は守備を重視した「0点に抑えれば野球は負けない」持論があるから、「いいピッチャー」がいれば優先的に獲ってほしい。ただ1989年の古田敦也のときは「いいキャッチャーはいないか」と、そして94年、宮本慎也のときは「うまいショートはいないか」と、こちらから要望を出した。チーム事情で、そのポジションの即戦力がどうしても欲しかったためだ。 しかし彼らの名前を挙げながらも、スカウトは当初・・・
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週刊ベースボール